小説家、精神科医、空手家、浅野浩二のブログ

小説家、精神科医、空手家の浅野浩二が小説、医療、病気、文学論、日常の雑感について書きます。

小説のパターン

2012-02-10 23:37:12 | Weblog
今、小説は、五木寛之の「疾れ。逆ハンぐれん隊」を読んでいる。これは去年、図書館のリサイクル図書で、何となく、家に持って帰ってものである。リサイクル図書は、小説に限らず、大抵、ほとんど持って帰りたくなって、実際に持って帰っている。五巻まであったので、五巻まで持って帰った。で読んだ。しかし、続きが読みたくなって、ネットで、注文して全部、買った。中学生向けくらいの軽い小説だが、面白い。しかし、もう手にいれることは、出来にくいだろう。絶版だし、ネットでも、わずかしか売ってない。ぎりぎりセーフである。もちろん、単純に楽しむために読むのではない。あくまで、小説の作り方の勉強のため、である。

一言で言って、これは、一人の男の子と一人の女の子と、一人の大人の三人組が、いろんな所に旅をして行く話である。何となく読んでいると、ただ面白い、だけだが、これは、典型的な小説の一つのパターンである。つまり、旅物語であって、これは、弥次さん喜多さんの、「東海道中膝栗毛」のパターン小説である。テレビドラマで言うなら、「水戸黄門」がそれにあたる。あるいは、漫画では、「銀河鉄道999」(私は読んでいないが)など、がある。私としては、きむらはじめ、里見桂の「なんか妖怪」が、絵が可愛かったので、好きだったが。

どうも、小説とは「起・承・転・結」が、しっかり、していなくては、ならないという固定観念に無意識の内に、とらわれていた自分を発見した。こういう旅物語は、「起・承・転・結」は必要ない。一話完結の小さなドラマを、あの手、この手で、変えていけばいいのである。そして、こういう旅物語は、長く続けられる。のが長所である。ストーリーをどうするかを、あらかじめ考える必要もない。ので、書いてる人も肩の力を抜いて書ける。非常に参考になる。

小説を何となく、の感覚で読んでいる人は、自分の読んでいる小説がどういう範疇のものなのか、を考えてみた方がいい。たいてい、どんな小説でも、カテゴリーに分けられることが多い。そして、どんなカテゴリーかは古典小説で、ほとんどが、出ている場合が多い。

ちなみに、私にとっての小説創作では、「面白い」「読みやすい」の二つが、大原則である。私にとっては、この二つの原則だけは、絶対にやぶってはならないものである。
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