そもそも人々の境遇とは、順あり、富貴あり、貧賤あり、而してすべての境遇は決して偶然のものではありません。
「必然」なのです。
必ずや依って来る真理が有(在)るのです。
これを「不昧因果」といいます。
この因あればこの果あり。
この果は必ず、この因に因るのです。
故に偉人は境遇に平気でいられ、順逆に心を苦しめないでいられるのです。
直ちに境遇に因って因果を証明し、真理を説法する者としては、常に綽々(しゃくしゃく)として余裕があるのです。
おシャカ様にも悩みがあったのです。
提婆にほとんど殺されようとした事があったのです。
九十日間馬と生活を共にしたことがあったのです。
史実に拠ればおシャカ様は、八十歳で亡くなられましたが、おシャカ様の亡くなられた事を「涅槃」といいます。