活かして生きる ~放禅寺の寺便り~

娑婆世界を生きる智慧/おシャカ様・禅・坐禅・法理・道のこと

彼岸について 1

2015年03月18日 | 仏教
彼岸とは仏教用語です。

広辞苑によれば、

ひがん [ 彼岸 ] (仏) 河の向こう岸。生死の海を渡って到達する終局。理想、悟りの世界。涅槃。⇔此岸(しがん)

と、表記されています。


しかし、こちらの岸(此岸) と、あちらの岸(彼岸) というものをたてることは間違いです。

彼岸とは、正しくは「到彼岸、事究竟 (とうひがん、じくぎょう)」といいます。

「事究竟」とは、「事がそれで終わっていること」ということです。


本来、私達の日常生活は「事がそれで終わっている」ということでないと、本当ではありません。


「自分はまだ未熟だ」という人がよくいますが、本来その人は「未熟のままで終わっている」のです。

「未熟だから完成させよう」と、考えるのは間違いです。

皆それぞれに一杯一杯なのです。


しかし、私達は理屈ではわかっていても「事実」がなかなか伴わないものです。

そこで【やむおえず】修行する必要があるのです。


「修行するということ」は、「傷をつけるということ」です。

本来、傷がつくべきものではないのに、自ら傷をつけて修行するのです。


もう一度言います。

【「やむおえず」修行しなければ「彼岸」の意味は分かりません。】


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