夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

祖母の死を悼む

2014-08-30 21:58:01 | 短歌
祖母が亡くなって、早くも一週間になろうとしている。
最近は、自分の感情をよそに、自分の外部で時間がただ機械的に流れているような感覚を覚える。
いつの間にか、夜の来るのが早くなり、とんぼの群れ飛ぶ姿が見られ始めた。
初七日を前に、祖母の死を悼む歌を書きとめておくことにする。

母よりの電話のありてわが祖母が昨日の朝に亡くなりしと聞く
先日に帰省せしかどなどてわれ寝たきりの祖母を見舞はざりけむ
とり急ぎ他事はうち捨て帰郷しき葬儀にだけは参列せむと
実家まで帰れば父母は通夜終へて先ほど帰りしところなりといふ
大往生遂げしといふもおろかにて百年にあまる齢(よはひ)を思ふ
亡き祖母と別るる朝は傘させどそぼ降る雨に頬は濡れつつ
祖母なくばわれもなかりき代々を経て命受け継ぐ縁(えにし)を思ふ
名号を唱ふる声は輪になりて祖母を浄土へはこぶなるらむ
灰になりてかくも小さき亡きがらを見れば涙をおさへかねつる
朝夕に祖母の唱へし御仏(みほとけ)の法(のり)は死後にも祖母を守らむ

拙い歌ではあるが、祖母の冥福を心から祈る。