夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

N・ヒル『仕事の流儀』(その19)

2013-02-15 23:19:39 | N・ヒル『仕事の流儀』
第18章の続き。

ヒル博士は、今日では、同業者仲間の内での競争が熾烈になっていることを指摘する。どんな職業にも、行われるべき基礎があり、それを理解した者だけが生き残れる。職業での災難の大部分は、主として、多くの職業人たちが体系立てて仕事を行うことの基礎を何も知らないのが原因である。
ヒル博士は若者に、職業に就く前の準備とトレーニングとして、費用はかかっても、ビジネス・カレッジを賢明に選び、そこで学ぶことを勧めている。これは現在では当たり前のことだが、ヒル博士のこの本が出版されたのが1939年であったことを思うと、当時としてはかなり思い切った主張であったのではないかと思う。

また、第18章を閉じるに当たってヒル博士が、どんな職業においても、その人が成功するか失敗するかを決定づける要因であると信ずる法則を挙げているのが印象に残った。それは、とても単純なので、その重要性が多くの、特に働いた経験のない若い人々には低い評価しか得られないかもしれないが、と懸念しつつヒル博士は言う。

The principle may be described as“the failth and persistence to accept defeat as being nothing more than an experience from which something of value may be learned.” Most people give up or let their ambition be killed when serious obstacle are met.
Life is filled with obstacles that must be surmounted. Only those who have the stamina and the willingness to fight can win. Others must take the count. Do not expect that you will be one of the fourtunate who never meet with serious opposition in life, for you will be no exception to the general rule. Everyone meets with opposition. Opposition should be accepted as a signal to put everything you have into its mastery.
(“How to sell your way through life”‘18 How to choose an occupation’)

この原則は、「敗北しても、そこから何か価値を学ぶべき経験にすぎないとして受け入れる信念と粘り強さ」として説明しうる。たいていの人々は、深刻な障害に出会うと、あきらめるか、自分たちの念願を失われるに任せてしまう。
人生は乗り越えるべき障害に満ちている。スタミナと闘う意志を持つ者だけが勝利する。その他の者たちは、10カウントを数え終わるまで起き上がれない。あなたは、自分が人生において深刻な障害に決して遭わない、幸運な人間になりたいと期待してはならない。というのも、あなたは一般的な法則の例外にはなりえないからだ。誰もが障害に出会う。障害は、すべてあなたを成熟に導くためのきっかけとして受け入れるべきなのだ。

信念と持続力。当たり前だが、これを原則として味方にすれば成功し、バカにして省みなければ失敗するだろう。ヒル博士の言葉は厳しいけれど、今の自分には勇気と意欲が湧き、活力のもとになる言葉だった。