一人の中年男が交通事故に遭う。彼は瀕死の重傷だ。
周りには事故に気付いた群衆があふれ、
衝突した相手のトラックの運転手は警察に事故状況を説明している。
車から投げ出されたその中年男には自分の周りがよく見えている。
だがここに来るまでの彼の過去の出来事と、これからの将来の夢の幻想が意識の中に現れ始めると
やがてロウソクの灯が少しずつなくなっていくように彼の命の炎も消えていく。
たったこれだけの話を1時間半の映画に詰め込んだ名作『過ぎ去りし日の・・・』(原題Les choses de la vie (1970))をご紹介します。
以下ネタバレです。
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ミッシェル・ピッコリ演じる主人公ピエールは妻カトリーヌ(レア・マッサリ)と別居し、
恋人のエレ―ヌ(ロミー)と暮らしている。
幸せに暮らしている彼の元に父親が突然現れ、別居中の妻カトリーヌと彼の息子と一緒に避暑地へ旅行するよう勧める。
家族への思いを断ち切れないでいるピエールは旅行の計画を受け入れる。
反発するエレーヌ、しかしピエールはまだエレーヌと人生をやり直すにはその覚悟が不十分だ。
彼は旅行先に向かう途中悩みぬいてエレーヌへの惜別の手紙を書き胸のポケットにしたためる。
だが突然また彼の心は変わる。やはり自分にはエレーヌが必要だ。
彼女のアパートメントに電話したが留守のためメッセージを吹き込む。
「これから二人で思い出のホテルで会おう、僕は先に行ってそこで待っている、」と。
交通事故はその直後に起こる。
エレーヌがそばを通りかかり事故現場の見慣れたピエールの車を見て収容された病院に駆けつけるが
一足遅くピエールは帰らぬ人に。
彼のポケットにはエレーヌへの惜別の手紙が入っていたはずであったが、
先に遺品の提示を受けて手紙を読んだ妻のカトリーヌがこれを破り捨ててあげる。
ピエールをめぐる二人の女性の哀しみはこのカトリーヌの機転で同じものとなったのだ。
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フランス盤DVDのライナーノーツによりますと、
当初のキャスティングにはエレーヌの役にレア・マッサリが予定されていましたが理由がわからずに彼女は離脱、
続いてエレーヌにアニー・ジラルド、妻カトリーヌにロミーが選ばれました。
その後二人の役が入れ替わり、不満に思ったアニー・ジラルドが離脱、(彼女はこのことをずっと後悔していた。)
なぜかレア・マッサリが再び復帰しカトリーヌの役に落ち着いたとのことです。
本作はこの脚本の妙は言わずもがなですが、冒頭の事故シーンのリアリティーから始まって
彼の過去の出来事を時間軸を錯綜させながら1本の線に導いていくクロード・ソーテ監督の演出手腕、
これが映画音楽デビューとなった若き日のフィリップ・サルドの才気あふれる音楽など
長所をあげればきりがない作品ですが、
何よりもヒロインを演じたロミー・シュナイダーの美しさがこの作品の魅力を決定的にしています。
周りには事故に気付いた群衆があふれ、
衝突した相手のトラックの運転手は警察に事故状況を説明している。
車から投げ出されたその中年男には自分の周りがよく見えている。
だがここに来るまでの彼の過去の出来事と、これからの将来の夢の幻想が意識の中に現れ始めると
やがてロウソクの灯が少しずつなくなっていくように彼の命の炎も消えていく。
たったこれだけの話を1時間半の映画に詰め込んだ名作『過ぎ去りし日の・・・』(原題Les choses de la vie (1970))をご紹介します。
以下ネタバレです。
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ミッシェル・ピッコリ演じる主人公ピエールは妻カトリーヌ(レア・マッサリ)と別居し、
恋人のエレ―ヌ(ロミー)と暮らしている。
幸せに暮らしている彼の元に父親が突然現れ、別居中の妻カトリーヌと彼の息子と一緒に避暑地へ旅行するよう勧める。
家族への思いを断ち切れないでいるピエールは旅行の計画を受け入れる。
反発するエレーヌ、しかしピエールはまだエレーヌと人生をやり直すにはその覚悟が不十分だ。
彼は旅行先に向かう途中悩みぬいてエレーヌへの惜別の手紙を書き胸のポケットにしたためる。
だが突然また彼の心は変わる。やはり自分にはエレーヌが必要だ。
彼女のアパートメントに電話したが留守のためメッセージを吹き込む。
「これから二人で思い出のホテルで会おう、僕は先に行ってそこで待っている、」と。
交通事故はその直後に起こる。
エレーヌがそばを通りかかり事故現場の見慣れたピエールの車を見て収容された病院に駆けつけるが
一足遅くピエールは帰らぬ人に。
彼のポケットにはエレーヌへの惜別の手紙が入っていたはずであったが、
先に遺品の提示を受けて手紙を読んだ妻のカトリーヌがこれを破り捨ててあげる。
ピエールをめぐる二人の女性の哀しみはこのカトリーヌの機転で同じものとなったのだ。
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フランス盤DVDのライナーノーツによりますと、
当初のキャスティングにはエレーヌの役にレア・マッサリが予定されていましたが理由がわからずに彼女は離脱、
続いてエレーヌにアニー・ジラルド、妻カトリーヌにロミーが選ばれました。
その後二人の役が入れ替わり、不満に思ったアニー・ジラルドが離脱、(彼女はこのことをずっと後悔していた。)
なぜかレア・マッサリが再び復帰しカトリーヌの役に落ち着いたとのことです。
本作はこの脚本の妙は言わずもがなですが、冒頭の事故シーンのリアリティーから始まって
彼の過去の出来事を時間軸を錯綜させながら1本の線に導いていくクロード・ソーテ監督の演出手腕、
これが映画音楽デビューとなった若き日のフィリップ・サルドの才気あふれる音楽など
長所をあげればきりがない作品ですが、
何よりもヒロインを演じたロミー・シュナイダーの美しさがこの作品の魅力を決定的にしています。