LE REGARD D'ALAIN DELON

アラン・ドロンさんの魅力を探ります。

ONCE A THIEF (1)

2011-06-07 | THE 60'S CINEMA
アラン・ドロンさんがハリウッド進出をかけてフランスを出てから、
初めての単独主演作品となった「泥棒を消せ(Once a Thief (1965)」をご紹介します。

これは現在国内海外ともビデオもDVDも発売されておらず、
ブロンディーりおな様より日本語吹き替え音声付の私家版DVDを見させていただきました。
誠にありがとうございました。

映画はドロンさん演ずる主人公の一家の崩壊を軸に進んでいくのですが、
一人娘の心理描写がまったく無視されており、ラストシーン含めて首をかしげる部分がたくさんあります。
この弱い脚本をドロンさんはじめとする俳優たちの熱演により、作品は何とか一定の水準のものになっています。
特にアン・マーグレットの演技はきわめてリアルであり、
後半の壊れた表情はニコルスン共演の「愛の狩人」に匹敵する熱演といえます。

ちょうど30歳を迎えたドロンさんの演技も堂々たるもので、
アメリカの風景にも違和感なく溶け込んでいるのが不思議にも思えます。

この作品を見ていますと後年のドロンさんの作品に出てくる様々なシーンが思い浮かんできます。
前科のある主人公を執拗に追い掛け回す刑事の存在は「暗黒街のふたり」にありますし、
同じく前科があってしかも新たな犯罪計画を持ちかけてくる兄の存在
その兄に会ったことを警察で尋問されてしらをきるところなども「暗黒街のふたり」に出てきます。
強盗現場の目撃者に犯人を当てさせるために、
警察が前に容疑者を並ばせて質問するところは「サムライ」を思い出させます。
ほかにも「ジェフ」や「仁義」「シシリアン」などの記憶もよみがえります。



Comments (2)
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