LE REGARD D'ALAIN DELON

アラン・ドロンさんの魅力を探ります。

『PAROLE DE FLIC』(3)

2010-06-06 | THE SOUNDTRACKS
アラン・ドロンさんが1985年に主演した"PAROLE DE FLIC"(テレビ放映題名『復讐のビッグ・ガン』)のサントラ盤LPをご紹介します。

このアルバムの情報はこれまで日本では皆無に等しい状態で、
しかも映画本編の中で聞こえてくる音も『私刑警察』と同様に(音楽担当は同じPINO MARCHESEが担当しています。)
ショッキングなシーンに鳴るこけおどし的なブリッジ音楽の印象しか耳に残っていないため期待はしていなかったのですが、
こうやって改めてアルバム全体を聴いてみますと意外にこの“燃える”スコアにはまってしまいました。

『私刑警察』ではトゥーツ・シールマンスのハーモニカの音色がアルバム全体のキーポイントとなっていましたが、
本作ではドロンさん演じる主人公が事件が起こるまで悠々自適に暮らしていたアフリカの音楽がモチーフとしてあり、
そのための素材としてパーカッションとコーラスが随所で重要な役割を果たしています。

収録曲は以下の通り22曲もの楽曲が並びますが、(曲名の後のカッコ内は英語訳です。)
①のドロンさんとフィリス・ネルソンのデュエット曲、
及びドロンさんのトレーニング場面で流れる⑫のみがボーカル曲で、残りは一部コーラス入りのスコア曲が並びます。

特に印象的なのが映画のプレ・タイトルからタイトルバックに流れる②で、
ディープ・フォレストを思わせるような打ち込み音をバックにアフリカン・コーラスとパーカッションが心地よく配置されています。
④も②と基本的に同じ楽器構成で、アフリカの村で漁船に乗っているドロンさんのバックに流れる音楽です。

⑧は娘を殺した犯人アベルから追いかけられる場面に流れるアクション曲、
つづいて⑨はそのアベルから逃れ泥まみれになってホテルに帰ってきた主人公と後輩の女刑事がバーで会話する場面に流れる曲、
⑪は主題曲のアコースティック・ギター・バージョンで主人公と女性刑事のひとときのラブ・シーン、
そして⑬は犯人グループの一人が勤務するビルの建築現場に現れた主人公との格闘場面のバックに流れます。

といったようにほとんどの楽曲がドラマの進行通りに並べられたアルバムですが、
中には映画で採用されなかった楽曲も一部あり、
例えばドロンさんが運転する車が水中に突っ込む場面を想定したと思われる⑯のオペラまがいの曲はさすがにボツとなっています。

1 "I Don't Know"
2 Sequnce afrique: Bar et combat
3 Containers
4 Depart peche (=Check fishing)
5 Cinq fusils (=Five rifles)
6 Telegramme (=Wire)
7 Mamma en pleurs (=Mamma crying)
8 Pour suite Abel
9 Piano bar
10 Cimetiere (=Cemetery)
11 "I Don't Know" instrumental
12 "Get Outa Town"
13 Chantier-buildings (=Yard-buildings)
14 Separation Rainer Pratt
15 Keep cool
16 Poursuite voiture (=Further car)
17 "Get Outa Town" instrumental
18 Garage Salem
19 Dynamite/Salem
20 Le clown Bingo
21 Confession Rainer
22 "I Don't Know" instrumental

いずれにしましてもドロンさんのファンの方々にとってこれはなかなかの拾い物アルバムであることは間違いありません。
ジャケットの劇画チックなドロンさんの姿には少々、というよりかなりの違和感を覚えますが・・。
Comments (4)
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