LE REGARD D'ALAIN DELON

アラン・ドロンさんの魅力を探ります。

『LA PISCINE』(2)

2008-07-23 | THE SOUNDTRACKS

ライナー・ノーツ後半をご紹介します。

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クリスチャンヌ・ルグラン、ミッシェル・ルグランとステファン・グラッペリのトリオによる
胸を張り裂くような悲しく抒情的な曲“Des Souvenirs En Regrets”、
即興のコーラス演奏が挿入される“Blues Pour Romy”、
犯罪に手を染めたカップルの曲“Suspicion”、この曲の最初の4音階は
すでに『おもいでの夏』の中でその輪郭が描写されていた。

また『太陽が知っている』ではロスで録音された2曲のファッショナブルな曲にも注目すべきである。
その2曲、"Run,Brother Rabbit,Run "と“Ask Yourself Why”は、
歌詞をアラン&マリリン・バーグマン夫妻が執筆しており、
彼らとミッシェル・ルグランとは『華麗なる賭け』の主題歌で実りある関係を築いていた。

映画にほとんどの曲が採用されなかった代償として、
いくつかの曲たちが映画から解き放たれ、独立した形で今も生き続けている。
ミッシェル・ルグランがフィリップス・レーベルでボーカル・アルバムを録音したときに、
作詞家のEddy Marnayが“Ask Yourself Why”にフランス語の歌詞をつけ(“OU BIEN QUOI”と改題されている。)、
ポップ・ナンバーの“Dans La Soiree(Les Baladins Du Siecle D'aujourd'hui)”にも歌詞を追加している。

しかしながらこの映画の最大の成功はメイン・タイトルであった。
バーグマン夫妻の魔法のペンにより歌詞が付けられ“One at a Time”となったこの曲は、
リナ・ホーンやジャック・ジョーンズ、シャーリー・ホーンなどのボーカリストたちにカバーされ続けた。
ルグランの音楽にあまり詳しくない人たちでも彼のレパートリーの中でこの曲を知っている人は多いが、
『太陽が知っている』のテーマ曲がもともとの発祥であることを知る人はほとんどいない。

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前回ご紹介したライナー・ノーツよりも前段の部分で、
ジャック・ドレー監督は脚本の執筆段階からこの作品の音楽には
当時まだ一面識もなかったルグランに音楽を担当してもらうことを
すでに想定していた、と書かれていました。
それだけ期待の膨らんだルグランの音楽にパリのスタジオで接した時の
ドレー監督の落胆というものはいかばかりのものであったかと想像に難くないのですが、
出来上がった映画を観てこのサントラCDを聴いてみますとやはり違和感があります。
このCDはルグラン先生が映画を観て感じた彼の個人的なインスピレーションを感じるものだ、
と割り切って聴くのが正しい聞き方なのかもしれません。

ライナー・ノーツ後半に記載されていた各曲のカバーが聞けるアルバム・ジャケットを
添付の画像にご紹介しています。
個人的には右下のルグランのアルバム“Michel Plays Legrand”の中に収録されていて、
アルトゥーロ・サンドバルの静かなトランペット・ソロが展開される
“One at a Time”の演奏がお洒落なカバーとして気に入っています。

なお今回の『太陽が知っている』世界初CD化に際しては、
日本におけるルグラン研究の第一人者である濱田高志氏のご協力もあったようで、
添付画像の見開きジャケットの「協力者」たちの名前の中に彼の名前が見られます。
以下のサイトにご本人の興味深いコメントが書かれています。
          ↓
http://loveshop-record.com/readymade/essay/hamada_takayuki_2.html
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