台湾を狙う中共ミサイルは１３２８基！

　台湾の立法議院選挙は、国民党優勢のままに推移しそうだ。民進党もそれを認めている節がある。これに対し、李登輝氏がどのように動こうとしているのかはっきりしない。より大きな問題は、３月下旬に行われる総統選挙であり、住民投票（台湾名で国連に加盟を申請することへの是非）である。

　中共は、今月から台湾に対して益々圧力を掛けてくるであろう。胡錦濤総書記は１月１日の年頭演説で「台湾独立反対」妥協せずと言い切った。それを受けるかのように、陳水扁総統（民進党）は、中共の台湾武力制圧構想の一部を紹介し、台湾国民の意思統一を図ろうとしている。読売新聞によると、

台湾狙うミサイルが急増…陳総統、年頭演説で中国非難

　【台北＝石井利尚】台湾の陳水扁総統は１日の年頭演説で、台湾に向けて配備されている中国のミサイルが急増していることを明らかにし、中国を強く非難した。
　その上で、「台湾は主権国家だ」と述べ、台湾名での国連加盟の賛否を問う住民投票について、３月の総統選と同時に実施すべきとの考えを表明した。

　陳総統は演説で、陳政権が発足した２０００年当時に約２００基だった中国のミサイルが昨年には９８８基まで増え、１日現在、さらに約３割増の１３２８基に達したとの最新情報を公開した。陳総統は、台湾海峡に中国が「防空識別圏」を設置する動きを見せていると指摘、「台湾海峡の現状を一方的に変更しようとする企てだ」と批判した。

　陳総統は住民投票については、「台湾の将来や対中関係については台湾住民だけが決定する権利を持つ。台湾には、住民投票によって国連加盟への願いを示す権利がある」と述べた。また、「中国の強い圧力の下、米国や欧州連合（ＥＵ）などの国々は次々と反対を表明している。たいへん遺憾だ」と不快感を示した。
（2008年1月2日19時40分 読売新聞）
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20080102id24.htm


　１３２８基のミサイルの内、一部は日本をターゲットにしていると見て間違いない。

　小ブッシュ政権は、ライス国務長官に住民投票を止めるように言わせているが、中共のミサイル配備状況は熟知しているはずだ。嘉手納基地、沖縄軍港やホワイト・ビーチは真っ先に狙われるだろうから。胡錦濤総書記の思惑を超えて、中共軍が独自に台湾海峡への進出、台湾東部海面へのミサイル試射、あるいは同方面海域へ原潜を派遣などして恫喝することは大いに予想される。

　中東や北朝鮮問題では、方針がふらついている米国だが、台湾問題に関しては中共の軍事的容喙を許さないだろう。第７艦隊が早めのクリスマス休暇に入っていたのは、年初からの事態急変に備える意味もあったのではないか。

　陳総統は、３月の総統選を目指し覚悟を決めて動こうとしているようだ。台湾の巡航ミサイル＜雄風２Ｅ＞は、仮に北京へ届かなくても、上海や広州、そして三峡ダムを決壊させることは可能だろうから。

（参考）

　台湾の総統選挙が３ヵ月後に迫る：台湾有事に発展するのだろうか？