陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

哀愁の漂う佳曲<討匪行>を聴く

2011-01-06 20:55:56 | 読書・映画・音楽
 昭和時代の代表的テノール歌手・藤原義江(当時34歳)は、昭和7年(1932)に前線兵士慰安のため満州へ出掛けた。この時、彼が作曲し歌唱したのが<討匪行>であった。思いやりに溢れた歌詞は、関東軍宣撫官・八木沼丈夫陸軍少佐(アララギ派歌人)によるもの。

 この曲は、2年ほど前、tafu さんも取上げていた。

【今月の唄】討匪行(とうひこう)とシナ事変
http://tafu.iza.ne.jp/blog/entry/839099


 満州事変前後、満蒙の荒野に跋扈した馬賊(ゲリラ)と戦いながら、軍馬をいとおしみ、ある時は戦闘後匪賊の遺骸に手を合わせる日本軍兵士の姿を彷彿とさせる内容。八木沼少佐の人柄と歌才が滲み出ているような歌詞である。

 私は、2番、3番、8番、そして特に14番の歌詞が好きである。




 これは、slhs0083 さん提供の動画。

http://www.youtube.com/watch?v=aBk0_KsIXpo&feature=related


討匪行   昭和7年(1932)

作詞:関東軍参謀部/八木沼丈夫・
作曲:藤原義江


1.
どこまで続く 泥濘(ぬかるみ)ぞ 
三日二夜を 食もなく
雨降りしぶく 鉄かぶと  雨降りしぶく 鉄かぶと

2.
嘶(いなな)く声も 絶えはてて 
倒れし馬の たてがみを
かたみと今は 別れ来ぬ  かたみと今は 別れ来ぬ

3.
蹄(ひづめ)のあとに 乱れ咲く
秋草の花 雫(しずく)して 
虫が音ほそき 日暮れ空  虫が音ほそき 日暮れ空

4.
既に煙草は なくなりぬ
頼むマッチも 濡れはてぬ 
飢(うえ)せまる夜の 寒さかな  飢せまる夜の 寒さかな

5.
さもあらばあれ 日の本の
吾はつわもの かねてより 
草むす屍(かばね) 悔ゆるなし  草むす屍 悔ゆるなし

6.
ああ東(ひむがし)の空遠く 
雨雲揺(ゆ)りて 轟(とどろ)くは 
わが友軍の 飛行機ぞ  わが友軍の 飛行機ぞ 

7.
通信筒よ カンパンよ 
こえもつまりて 仰ぐ眼に 
溢るるものは 涙のみ  溢るるものは 涙のみ

8.
今日山狭(やまがい)の 朝ぼらけ 
細く微(かす)けく 立つ煙 
賊馬は草を 食(は)むが見ゆ 賊馬は草を 食むが見ゆ

9.
露冷えまさる 草原に 
朝立つ鳥も 慌し 
賊が油断ぞ ひしと寄れ 賊が油断ぞ ひしと寄れ

10.
面(おも)かがやかし つわものが 
賊殲滅の 一念に 
焔と燃えて 迫る見よ  焔と燃えて 迫る見よ

11.
山こだまする砲(つつ)の音
忽ち響(ひび)く鬨(とき)の声 
野の辺(へ)の草を朱(あけ)に染む  野の辺(へ)の草を朱(あけ)に染む

12.
賊馬諸共 倒れ伏し
焔はあがる 山の家 
さし照れる日の うららけさ  さし照れる日の うららけさ

13.
仰ぐ御稜威(みいつ)の 旗の下 
幾山越えて 今日の日に 
会う喜びを 語り草   会う喜びを 語り草

14.
敵にはあれど 遺骸(なきがら)に 
花を手向けて 懇(ねんご)ろに 
興安嶺よ いざさらば  興安嶺よ いざさらば

15.
亜細亜に国す 吾日本 
王師一たび ゆくところ 
満蒙の闇 晴れ渡る  満蒙の闇 晴れ渡る

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