陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

普天間問題で、平野官房長官が踏み込んだ発言

2010-01-27 00:29:22 | 国防関連
 名護市・新市長に当選した稲嶺進氏は、米軍海兵隊・普天間飛行場を辺野古へ移転する計画に絶対反対の立場だ。彼を推薦した民主党は大喜びかと思ったら、何か与党内に軋みを生み出している。それは、平野博文官房長官が「(現行案を含めて)法的決着も有り得る」との意見を述べたからだ。

 時事通信によると、


普天間移設、法的決着も=地元拒否時の対応に言及-平野官房長官

 平野博文官房長官は26日午後の記者会見で、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題について「(地元が)合意しなかったら物事が進まないということか。そこは十分検証したい。法律的にやれる場合もあるだろう」と述べ、新たな移設先の自治体が受け入れに応じない場合は、法的に決着させることも可能との見解を明らかにした。

 平野長官は、具体的な対応については言及を避けたが、公有水面埋め立て権限を都道府県から国に移す特別措置法制定などが念頭にあるとみられる。しかし、政府が地元の頭越しに決着を図る可能性に触れたことで、現行計画で移設先となっている沖縄県名護市など関係自治体や、「県外、国外移設」を主張している社民党などの反発を招くことは必至だ。

 これに対し、鳩山由紀夫首相は26日夜、首相官邸で記者団に対し「名護市民、沖縄県民の理解も求めて最終的な結論を出すべきだ」と述べ、地元の意向も踏まえて移設先を決定したいとの考えを強調。また、名護市長選で当選した稲嶺進氏と近く会談したいとの意向も示した。

 平野長官は会見で、自治体が移設受け入れを拒否した場合の法的措置に言及する一方で、「できる限り地元の皆さんの理解を得ながら決めていく。地元を無視してという考え方は成り立たない」とも語った。
 
 政府・与党の沖縄基地問題検討委員会での移設先の検討作業の進め方については「全く使い物にならない所を(移設先と)言ってもしようがない。検討する土俵がないのに、住民の意向がどうのこうのと言えるのだろうか」と述べ、米軍基地としての機能を満たすかなどを重視する考えを示した。(2010/01/26-21:22)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol&k=2010012600843


 平野長官は、鳩山首相の秘書長のような存在だから、首相の意を忖度して観測気球を上げたのだろう。岡田外相も、防衛相も、早くから現行案に賛成の立場だし、社民党を除けば閣内は辺野古への移転でまとまる可能性は濃厚。それは、米国が繰り返し求めていた内容でもある。

 鳩山首相は、名護市長選の結果を尊重すると発言していたが、3月末に国会の2010年度予算通案過を待って、社民党が連立から離脱するとしても、現行案採択に動くのかも知れぬ。あるいは、現行案採択に道を付けて内閣総辞職、菅直人副総理へ首班を禅譲することも考えられる。

 何れにしても、こんな事態を招いたのは鳩山首相の言動が原因である。仮に、現行案へ戻るとなれば、恐らく民主党は分裂するだろう。因みに、小沢幹事長は辺野古移転に反対の立場だ。

 平野発言は、民主党内外から批判を浴びている。

官房長官批判強まる=「感覚疑う」「異常」-与党

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題に関し、平野博文官房長官が「(地元の同意が得られなくても)法律的にやれる場合もある」と発言したことを受け、与党内で26日夜、平野長官への反発が一段と強まった。同長官は25日にも名護市長選の結果を「斟酌(しんしゃく)しなければならない理由はない」と言及して批判を浴びており、火に油を注いだ形だ。

 普天間移設に関する社民党プロジェクトチーム座長の照屋寛徳衆院議員は26日夜、都内で記者団に「民意を尊重しないで基地を造れると思ったら大間違いだ。手続き的にも(知事が許認可権を持つ公有水面の)埋め立て許可を含めて(移設作業を進めることは)できない」と指摘。「けしからんどころか、ぶん殴りたい。政治家として感覚を疑う。非常識だ」と、平野長官を強く非難した。

 これに先立ち、民主党の喜納昌吉参院議員、玉城デニー衆院議員ら沖縄県出身の与党議員は衆院議員会館で会合を開き、平野長官に対し、近く直接抗議することを決めた。会合では「基地を背負っている人たちへの発言としては異常だ」などと批判の声が相次いだ。 

 一方、民主党の高嶋良充参院幹事長は同日午後の記者会見で「移設に賛成か、反対かの住民投票なら別だが、首長を決める選挙だけで判断できないというのは一般論としてあり得る」と述べ、平野長官を擁護した。(2010/01/26-21:10)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol&k=2010012600524


 興味深いのは、この重要問題を通じて、

○鳩山由紀夫―平野博文―高嶋良充(参議院)

○小沢一郎―山岡賢次―輿石東(参議院)

のように、指導ラインの分裂が顕在化するかも知れぬ。その場合は、菅直人と仙谷由人は意見保留、岡田克也、前原誠司は現行案賛成に回ると観測される。
(敬称略)
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