この曲は、<交響曲の父>と呼ばれるオーストリア人、フランツ・ヨーゼフ・ハイドン(1732-1809)が1796年に作曲、1800年にウィーンのブルグ劇場で初演された。私にとっては、若い頃から親しんでいた曲なので、改めて聴くと懐かしい感じがする。内外共に情勢変化の激しい昨今、鬱々とした気分を変えてくれるような曲である。
演奏しているのは、英国の女性トランペット奏者、アリソン・バルサム(39歳)で、彼女が30歳の頃にロンドンの円形大劇場<プリンス・アルバート・ホール>で行われた演奏会の録画と思われる。第1楽章の最後の部分でカデンツア(独奏者の技量を示す部分)を披露しているが、演奏技術・音楽性共に優れていると思う。
J. Haydn: Concerto para Trompete e orquestra em Mi bemol maior
トランペットは、喇叭(らっぱ)が進化した楽器で、1750年頃までは単純に空気管長の異なる楽器を準備して広い音域をカヴァーしていたらしい。当然のことながら、ホルンと共に軍楽隊に使用され、通信・合図や志気鼓舞に寄与した。管弦楽に用いられるようになった時期は良くわからないが、ヘンデルも幾つかの短いトランペット協奏曲を作曲している。
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