陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

ビルマ(ミャンマー)軍事政権への日本国内から上がる批判

2007-10-11 17:32:44 | ビルマ(ミャンマー)関係
 世界各国で、ビルマ(ミャンマー)軍事政権に対するデモ弾圧の即時停止、民主化へ移行することを望む抗議デモが起きている。我が国は、9月30日に東京で抗議デモが行われた。

 JanJanの記事(原文掲載の写真は省略)によると、

ミャンマー軍事政権への大抗議デモ 日本人僧侶も参加
2007/10/01

 民衆への弾圧が続く軍事政権に対して在日ビルマ人など2000人が30日、東京・五反田から北品川のミャンマー大使館に向けて抗議デモを繰り広げた。デモには日本の僧侶、船員、学生、平和活動家らも加わった。

 五反田南公園に集まった参加者は最初に、治安部隊の発砲で死亡した市民や日本人ジャーナリスト、拷問で殺された僧侶の冥福を祈り1分間の黙とうを捧げた。 

 黙とうが終ると最大野党・国民民主連盟(NLD:スー・チーさんの政治母体)日本支部のタン・ジィ・ウさんが「ビルマで坊さんたちが殺されたことは許されない」と叫ぶように訴えた。

 デモ隊はビルマ人僧侶を先頭に日本人僧侶、NLD日本支部……と続いた。ビルマ人僧侶の一人は裸足だ。参加者は2000人以上いるだろう。筆者は両手で100人ずつの舛を作り、ざっと数えた。20舛を超えた。歩道橋に上がりデモ隊の全景を撮ろうとしたが、カメラのフレームに入りきれない。

 全日本海員組合も参加した。「国際運輸労連」の本部(ロンドン)から『デモに参加するように』とのファックスが届いたという。同組合国際部の楢橋茂徳副部長は「ミャンマーの人達を応援している。軍事政権をなくしたい」。ミャンマー沖を航行することもあるので他人事とは思えない、とも語った。

 「軍政を停止しろ」の横断幕を掲げて行進しているのは都内の日本人大学生だ。「ミャンマー政府は暴力をすぐに止めるべきだ。日本政府はODAを即時停止してもらいたい」。若者らしい真っ直ぐな感性で、訴えるように語った。

 ビルマ難民のアウン・ナイ・オヨウさんは治安部隊に射殺されたジャーナリスト長井健司さんの遺影を胸に参加した。「長井さんが射たれた場面を自らのホームページで流し、軍事政権の残酷さを世界中に訴えている」と話す。長井さんの死は在日ビルマ人の間でも重く受け止められていることが分かる。

 日本山妙法寺の武田隆雄僧侶は「仏教僧が犠牲となったことに抗議します。暴力は止めて対話によって解決してほしい。日本政府は経済援助を早速停止すべきだ」と冷静に話す。

 「すべての政治犯の釈放を」在日ビルマ人のシュプレヒコールと日本人僧侶が唱える「南無妙法蓮華経(ナンミョー・ホウレン・ゲーキョ)」の読経がビルの谷間にこだました。

 時折雨足が激しくなるなか在日ビルマ人参加者のほとんどがレインコートはおろか傘もさしていない。びしょ濡れだ。

 ミャンマー大使館前に来るとデモ隊のシュプレヒコールの声は一段と大きくなった。「キョムシー、キョムシー!」(軍事政権は要らない)、「アウナミ、アウナミ!」(民主化に勝利するぞ)。

 参加者たちは大使館前で独裁者タン・シュエ議長(※)のポスターを踏みながら、怒号のようなシュプレヒコールを挙げた。

(※筆者注)
 タン・シュエ議長。正式名称は「国家平和発展評議会議長」。軍のトップにして国家の全ての権力を掌握する。国民を困窮させる一方で、娘の結婚式は豪華絢爛な宴を催すなど自らは贅沢三昧。国民の猛反発を招いている。
(田中龍作)
http://www.news.janjan.jp/world/0710/0709303210/1.php


 外交では何事にも遠慮深い日本人が常に期待する(?)国連組織、それからビルマへ急遽派遣されたガンバリ特使は、殆ど軍事政権への説得成果を上げられなかったが、この背景について述べた Inter Press Service (IPS) の記事がJanJanに紹介されている。

ビルマ(ミャンマー):成果を上げられない国連特使
2007/10/10
【バンコクIPS=マルワーン・マカン-マルカール、10月2日】

 「軍政のトップと話すときに行われるのは通常の対話ではない。実のところ、トップと対話をしようなんて思ってはいけない」。そう語るのは、国連ビルマ特使を5年間務めたラザリ・イズマイル氏(マレーシア出身)だ。元首のタン・シュエ将軍とビルマの内政問題について協議しようとしても、それは侮蔑的行為だと受け取られるだけである。

 イズマイル氏自身は、2006年初めに、ビルマへの入国査証発行を2年間拒まれたのちに特使を辞任した。

 9月29日、国連ビルマ特使のイブラヒム・ガンバリ氏がビルマに入国し、翌30日には、政府の運営するゲストハウスで民主化運動指導者のアウン・サン・スー・チー氏と会談した。また、10月2日には、元首のタン・シュエ氏も会った。他に、テイン・セイン副首相、チャウ・サン情報相、キン・アウン・ミント文化相とも会談した。

 ガンバリ氏のビルマ訪問は、氏が2006年半ばに特使に就任してから3回目となる。

 1988年に成立した軍政は、これまで、国連の特使を冷たくあしらってきた。2003年11月には、ビルマを訪問した国連人権特使のパウロ・セルジオ・ピンヘイロ氏が人権侵害の被害者と話し合いを持った際に、その部屋が盗聴されるという事件もあった。

 チェンマイ大学(タイ)のウィン・ミン氏はこう語る。「タン・シュエは、国連の特使との会談をまるで戦争のようにとらえている。彼の軍事的思考のたまものだ。彼は、国連の要望を知りそれに対してどんな回答がありうるかを検討するために、まず下級の大臣を送り込む。まるで前線に兵士を送り込むかのような発想だ」。

 それでもなお、前出のイズマイル氏は言う。「最低限必要なことは、軍政に働きかけることだ。彼らを追い出すことはできないのだから」。

 ビルマ軍政と国連特使のかかわりについて報告(原文)

翻訳/サマリー=山口響/IPS Japan浅霧勝浩

http://www.news.janjan.jp/world/0710/0710083623/1.php


 それとは別に、日本国内のNGOなどによる共同声明も発表されている。

対ビルマODAに関する共同声明
http://www.burmainfo.org/pfb/jointstatement20071003.html

2007年10月3日
 燃料費の大幅引き上げへの抗議から、ビルマ各地に広がった反軍政デモに対して治安部隊が発砲し、数百人とみられる僧侶・市民が殺され、日本人カメラマンの長井健司さんも犠牲になった。また、3000人もの僧侶が軍政に拘束された。このような規模の抗議行動があったのは1988年以来のことだ。同年にも軍政は国軍部隊を大量に動員してデモ隊への水平射撃・無差別発砲を繰り返し、数千人が死亡したとされる。

軍政を支えてきた日本
 1988年の民主化運動弾圧を受け、日本政府は円借款を凍結し、無償資金協力についてもビルマの国内情勢に応じて慎重に判断することになった。首相ほか政府高官の最近の発言を見ても、日本政府は円借款は行わず、無償資金協力も人道援助のみ行っているようにとれる[1]。実態はどうか。日本は少なくとも2004年まではビルマへの最大の援助国だった。中央乾燥地帯での植林事業など人道援助ではない無償資金協力や、技術協力も多数行っている上、下記に述べるとおり円借款まで行っている。

内戦地域の発電所に無償資金協力 円借款も
 2002年にはバルーチャウン第2水力発電所の改修工事のため無償資金援助(約6億円)を提供することについて軍政と書簡交換を結んだ。同発電所付近には現在もビルマ軍が展開し、住民に強制労働をさせている。また周辺にはビルマ軍により地雷が設置され、現在も毎月のように周辺住民や家畜が踏んで負傷している[2]。
 1998年に日本はヤンゴン国際空港拡張計画のために円借款(約25億円)を出した。88年以降凍結されていたのは「新規案件」のみで、同計画は88年以前に承認されていた「既往案件」であるため凍結の対象ではなかった、というのが日本政府の主張だった。このような「既往案件」はほかにも数件、残っている。
 このように関与政策を建前として軍政に対して多額のODAを供与してきた日本政府は、現在ビルマで1988年の悲劇が繰り返され、多数の市民が犠牲となった事態を重く受け止めるべきだ。
 私たちは以下を日本政府に対して求める。
・軍政がアウンサンスーチー氏と全ての政治囚を釈放し、民主化勢力との実質的対話を開始するまで、軍事政権に対してODAを行うべきではない。
・人道援助に関しては、必要性を見極め、透明性を確保したうえで、国際機関・NGOなどを通した援助に限るべきである。
・ODA大綱II(4)[3]の原則をふまえ、今後ビルマへの援助を行う際には明確な基準を打ち出し、「民主化の促進」を真に支えるような支援をしていくべきである。また、国内外の識者やNGO、民主化のために活動しているビルマ人からの意見を聞き、「民主化の促進」を支援する援助を構築していくべきである。

【呼びかけ団体】
ビルマ市民フォーラム
【賛同団体】
(10月9日20時現在55団体、50音順)
アーユス仏教国際協力ネットワーク
アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」
アジア女性資料センター
アジア人権基金
アジア太平洋資料センター
アジア連帯講座
アムネスティ・インターナショナル日本
インドネシア民主化支援ネットワーク
ODA改革ネットワーク
化学物質問題市民研究会
カトリックさいたま教区正義と平和協議会
かつしか人権ネット
「環境・持続社会」研究センター
関西NGO協議会
関西フィリピン人権情報アクションセンター
キリスト友会東京月会社会平和委員会
北多摩政治文化研究会
草の根援助運動
国際環境NGO FoE JAPAN
国民民主連盟(NLD)解放地域日本支部
コトパンジャン・ダム被害者住民を支援する会
「婚外子」差別に謝罪と賠償を求める裁判を支援する会
市民の意見30の会・東京
ジュビリー関西ネットワーク
ジュマ・ネット
食政策センター ビジョン21
すべての外国人労働者とその家族の人権を守る関西ネットワーク
黙っちゃらんない・神奈川市民の会
地の人・宗教対話センター
中国民主団結聯盟日本分部
ティナラク織の会「カフティ」
途上国の債務と貧困ネットワーク
ナガ・ピース・ネットワーク
名古屋NGOセンター
西日本入管センターを考える会
日本カトリック正義と平和協議会
日本キリスト教団
日本山妙法寺
日本バプテスト同盟 京都バプテスト教会
日本ビルマ救援センター
日本ビルマ問題を考える会
熱帯林行動ネットワーク名古屋
ヒューマンライツ・ナウ
ビルマ僧侶の平和的民主化運動を支持する会2007
フィリピン情報センター・ナゴヤ
フェアトレード バーマ・リン
フォーラム平和・人権・環境
平和を実現するキリスト者ネット
マハリカ ミッション
宮崎国際ボランティアセンター
メコン・ウォッチ
横浜アクションリサーチセンター
ラフィック 在日難民との共生ネットワーク
RAWAと連帯する会
労働組合ネットワークユニオン東京

[1] :これまでの対ビルマ援助についての政府高官の発言
 「Now let me say a few words on Japan's aid, or the lack thereof, to Myanmar... We have extended to the country no loan assistance since 1987...」

(仮訳:これから日本のミャンマーに対する援助の状況、といっても援助は行っていないわけですが、このことについて申し上げたいと思います。・・・1987年以来、借款は一切行っておりません。)
(谷口外務副報道官、10月2日の記者会見で)

「日本からミャンマーへの援助は人道的なものが多く」
(福田首相、9月28日に記者からの質問に答え)

「円借款は出していないが、無償資金協力を通じた人道援助は確かにあります」
(町村官房長官、9月28日、記者からの質問に答え)

「人道分野に限った、限られた経済協力しかやってこなかったんですね。ここ最近はね」
(町村官房長官、9月26日、記者からの質問に答え)

[2] :バルーチャウン第2水力発電所について

問題点、資料など(特定非営利活動法人メコン・ウォッチ)
www.mekongwatch.org/env/burma/baluchaung

[3] :ODA大綱II.援助実施の原則
項目(4) 開発途上国における民主化の促進、市場経済導入の努力並びに基本的人権及び自由の保障状況に十分注意を払う。


 私は、日本がビルマ(ミャンマー)軍事政権に対し、ODA供与を中止していたと思っていたが、この宣言を読むと政府による別口の援助は為されているようだ。長井氏の事もあるし、スー・チー女史が要請するようにこれは即刻中止すべきで、政府は更に民間企業へも投資縮小を働きかけたら良いと思う。それにしても、我が国マスコミのビルマ問題に関する沈黙ぶりはどう言う事なのだろう。
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1 コメント

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がんばるお(´・ω・`) (たかひろ)
2007-12-01 21:23:54
アフィリやめてこっちにして正解だったwwww本当に3発ヤッて10頂きやしたwww明日もがんばるおww前教えてくれた人ありがとぉぉぉぉwwwww

http://w-master.net/se/Ok1dK/
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