陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

緑資源機構の談合問題

2007-05-28 08:24:09 | 国内政治:内閣
 雑草を取り除き客土をして、トマトや西瓜、かぼちゃなどの苗を「猫の額」のような菜園に植えてみた。絹さやは、今からでは遅すぎる。茄子はあまり食べないので止めた。新緑の中での農作業は、中々楽しい。

 自然界の緑は美しく爽やかな気持ちにしてくれるが、行政の緑は醜悪そのものだ。森林開発公団と農用地整備公団は、緑資源公団に統合され、この公団は2003年に農水省所管の独立行政法人「緑資源機構」となった。その業務は、農林業の振興を狙いとして、水源造林、林道整備、農地総合整備、海外農業開発を行うことにある。

 緑資源機構は、農水省の外局である林野庁の業務とオーバーラップする部分が多いし、理事会メンバーは農水省出身者で占められる。本省が外局を作って膨張、さらに外局が公団(名前を変えて機構になっても同じ)を形成し、公務員や疑似公務員が増える。それ故、外局や機構OB数も増加、彼らの再就職先(天下り)を受け入れた企業を優遇し、互いに利を得るシステムが形成される。そこに政治屋がきっちりと絡む。

 2007年、林道整備受注に関して、緑資源機構が官製談合を主導したとの疑惑が問われた。同年5月24日、東京地検特捜部は公正取引委員会の告発を受け、独禁法違反(不当な取引制限)容疑で同機構の理事及び受注法人の担当者ら6人を逮捕し、機構本部を強制捜査した。同日、前田直登理事長は、責任を感じて給与の20%を3か月自主返納するが、辞任はしないと述べた。毎日新聞の伝えるところでは、

<緑資源談合>逮捕の前理事が「落札率93%」を指示
5月26日15時2分配信 毎日新聞

 農林水産省所管の独立行政法人・緑資源機構の官製談合事件で、前森林業務担当理事、高木宗男容疑者(59)=独占禁止法違反容疑で逮捕=が03年4月、林道調査・設計業務の落札率を93%程度にするよう機構の出先機関に指示していたことが分かった。同1月に官製談合防止法が施行された直後で、東京地検特捜部は、高木前理事が従来よりも落札率を下げることで談合の発覚を防ごうとしたとみて追及している。

 関係者によると、高木前理事の指示があったのは、全国8カ所の地方建設部の林道課長を機構本部に集めて開いた03年4月の会合。03年度の林道調査・設計業務の発注予定を説明する会合で、当時、宮崎地方建設部に勤務していた前林道企画課長、下沖常男容疑者(56)=同=も出席していた。

 当時、森林業務部次長だった高木前理事は落札率について「最近はいろいろあるから、今までのように95%ではだめ。93%程度にしてほしい」と出席者に指示したという。公正取引委員会の調べに対して、複数の出席者が前理事の指示を認めたという。

 高木前理事と下沖前課長が主導したとされる同機構の官製談合システムでは、機構側が業者に直接「おたくにお願いします」などと本命業者になったことを連絡し、応札価格まで具体的に指示していたことが判明している。各地方建設部の林道課長は高木前理事の指示に従い、予定価格の93%程度に相当する額を応札価格として業者側に伝達していたとみられる。

 毎日新聞が入手した入札調書によると、高木前理事の指示があった03年4月から06年10月までに、同機構が発注した林道調査・設計業務393件(発注総額約28億3432万円)の平均落札率は93.43%で、指示が浸透していたことを示している。

最終更新:5月26日15時4分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070526-00000033-mai-soci


 捜査が進めば、談合システムによるキックバック、天下りの実態、そして不当な政治献金などが明確になるだろう。農水省関連業務は利権の多い分野である。その頂点に立つ農水相が、とかく噂のある松岡利勝氏(62)だ。今年になってから、事務所費など金絡みで国会で追及されていたが、今回の談合摘発事件でも政治資金関係で矢面に立つことになるはずだ。只今は、後輩の前田理事長を庇うことで忙しそうだ。

緑資源機構理事長の処分考えず 談合事件で松岡農水相
2007年05月25日11時48分

 緑資源機構をめぐる官製談合事件で、松岡農水相は25日の閣議後会見で、続投の意向を示している同機構の前田直登理事長について、「一日も早く信頼回復できるような責任を果たしてもらいたい」と述べ、任命権限のある主務大臣として処分しない意向を示した。

 元林野庁長官の前田理事長は同庁出身の松岡農水相の2期後輩。前田理事長が給与の一部を自主返納するとしていることについて、松岡農水相は「一つの責任の取り方だと思う」と支持。機構内に第三者委員会を設けて再発防止策を検討するよう指示したと述べ、「まずはそのことをきっちりやってもらいたい」と語った。自身の責任のあり方については「二度と起こらないように、国民の皆様にしっかりと対応していくのがまずは取るべき責任だと思う」と話した。
http://www.asahi.com/politics/update/0525/TKY200705250143.html


 松岡農水相への疑惑は JanJan の記事「ああ慚愧!わが農水相は談合屋献金で潤う」が詳しい。安倍首相は、利権絡みで疑惑の塊のような人物を農水相に任命した不明を反省すべきである。この事案を理由に松岡大臣を更迭したほうが良いと思うが、如何なものであろうか。

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4 コメント

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今速報で (村長)
2007-05-28 13:16:58
今日の安倍内閣支持率低下に関連して、松岡農水相を切れば、10ポイントアップするゾ。とエントリーしようとPCに向かった途端に『松岡農水相自殺!心肺停止』との一報が入りました。また事実は闇の中になってしまうのでしょうか。
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驚きましたね (茶路主)
2007-05-28 21:40:02
村長様
午後2時に亡くなられたようですね。
ご冥福を祈りおります。

安倍政権に与える影響は大きいと想像します。
もう少し情報が欲しいところです。
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死よりより良い明日のため、真相を明らかに・・ (SAKAKI)
2007-05-29 17:34:20
 緑資源機構の元理事 山崎さんも自ら命を絶たれたようですね。もともとこのような行政法人は法に守られたイビツな存在が多かったですし、在職中は滅私奉公のような中央官僚さんたちの唯一のオイシイ部分でもありました。
 官僚の「働き方」も含めて問題ですよね。

 現職大臣の自殺は初めての出来事だそうで、安倍政権への風当たりはキツイと思います。しかしそれは問題の表層だけなのですが、またマスコミがオモシロおかしく書き立てるのでしょう。

 松岡農水相は官僚出身で、官僚らしい利権に埋もれました。同じ官僚出身でも、昭和の賢人のように、利権から距離を置いた、けれども立派な政治家もいました。日本農業の価値を高めるという仕事では、なかなかのものをお持ちでしたが、自殺という幕引きは残念です。
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緑資源機構が解体 (茶路主)
2007-06-06 16:27:56
榊様

 松岡氏の自殺が切っ掛けになったのでしょうか、緑資源機構は解体と決まったようですね。
 大臣となる人物の資質は、真面目な一部国民が期待するものとは別の内容があると感じます。様々な利権がこの国には多過ぎて、賢人や哲学を持った人物は政治家になれない。大半の国民は、それで良しとしているのでしょう。
 松岡氏の負債は、10億円とも言われています。大臣になるには、それ程多額の金銭が必要と言うことでしょうか。
 金銭に汚い中共の振る舞いを笑えない事実が、日本の政治状況の中に色濃くあることを寂しく思います。
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