陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

松岡利勝農水相自殺

2007-05-29 18:21:27 | 国内政治:内閣
 週明けの5月28日昼過ぎ、松岡利勝農水相(62)が衆議院議員宿舎の自室で自殺を図り、同午後2時に死亡が確認された。色々なうわさの絶えない松岡氏であったが、まずは故人のご冥福をお祈りします。

 自殺の原因などは、これから明らかにされていくと思うが、安倍首相には相当なショックであったろうと想像する。少し変だなと感じるのは、故人の枕元に弔問を終えた安倍首相が、記者団に対し「慙愧に堪えない」と発言したことだ。慙愧とは、過去の過ちを恥じて、私は大いに反省していますと言う意味だから、この場には似つかわしくない。もし、松岡氏の死を残念に思うとか、気の毒な思いがすると言うなら、「遺憾の念に堪えない」と言うべきだろう。それとも松岡氏の死は、自分に責任があるから恥ずかしいという意味で「慙愧」と述べたのだろうか。


安倍政権動揺=首相、任命責任認める-深刻な影響・松岡農水相自殺
5月28日19時33分配信 時事通信

 東京都港区赤坂の衆院議員宿舎で自殺を図った松岡利勝農水相(62)は28日午後2時、搬送先の慶応大学病院で死亡が確認された。緑資源機構の官製談合事件などをめぐり、疑惑の渦中にあった現職閣僚の自殺に、与野党は大きな衝撃を受けている。安倍晋三首相は「任命権者だから、閣僚の取った行動に責任を感じている」と記者団に初めて任命責任を認めた。野党側は真相の解明を求めるとともに、農水相を一貫して擁護してきた首相の政治責任を追及する方針だ。参院選を控えて安倍政権は動揺、苦境に立たされた。
 首相は、松岡農水相の自殺について「本当に残念だ。ざんきに堪えない思いだ」と首相官邸で記者団に語った。さらに「有能な農水相だっただけに内閣、政権への影響は大きい」と述べ、深刻な影響は避けられないとの認識を示した。 

最終更新:5月29日1時3分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070528-00000118-jij-pol


 近親者はもとより、政府、国会、熊本県三区の後援会など、只今は大混乱である。後任の農水相は、臨時に環境相を当てたようだが、後任選びの点でも首相の悩みは深いだろう。

 松岡氏の死に関連する事件として、緑資源機構の「影のドン」と言われた山崎進一氏(76歳)が今日早朝に自殺した。何ともお気の毒で、やりきれない気持ちがするが、御両者の自死は同機構の官製談合捜査に多大の影響が出ることだろう。毎日新聞によると


<緑資源談合>「陰のドン」も自殺 真相解明、闇の中
5月29日15時15分配信 毎日新聞

 官製談合システムを発案した緑資源機構の「陰のドン」も命を絶った。29日、機構の前身、旧森林開発公団の山崎進一・元理事(76)の自殺。山崎元理事は業界団体「特定森林地域協議会」(特森協)=解散=の副会長も務め、政界への窓口役とされた。命と引き換えに、いったい何を守ろうとしたのか。松岡利勝農相に続く死の選択で、真相は闇に葬られようとしている。

 「またも自殺者が出るとは」。検察関係者は29日朝、キーマンの自殺を知り絶句した。

 山崎元理事は公団発足(56年)当時からの職員。業務部長などを経て88年10月~90年10月、理事を務めた。担当は今回事件の舞台となった林道部門など。発注権限を一手に握った山崎元理事は90年ごろ、天下りを多く受け入れた企業や公益法人に優先的に業務を回すため、出先機関から配分案を吸い上げ公団本部で決定する現行システムの原型を作り上げた。

 「自分は山崎さんから直接引き継いだ。最近も割り振り済みの業務に介入してきて、受注先を差し替えたことがあった」。24日に独占禁止法違反容疑で逮捕された高木宗男前理事(59)=解任=は逮捕前、周辺にこう語り、関係者は山崎元理事を「陰のドン」と呼んだ。

 山崎元理事には「政界とのパイプ役」というもう一つの顔があった。副会長を務めた機構の受注業者でつくる特森協は、表裏一体の政治団体「特森懇話会」=解散=を設立。03~05年、この懇話会から21人の国会議員に計822万円の献金があり、うち計120万円が松岡氏に渡った。

 支援企業と特森協は、談合事件の裏で極秘裏に進めてきた政界捜査の焦点で、山崎元理事は真相を語ることができる重要人物だった。松岡氏の後を追うかのような自殺。「林野の闇」の実態解明が遠のこうとしている。

 ◇「にこやかな人」とマンション住民
 山崎進一元理事が自殺したマンションには29日午前、報道関係者数十人が集まった。

 山崎さんと顔見知りというマンションの女性住民は「山崎さんはここ1カ月で一度、団地内で後ろ姿を見たのが最後だった。あいさつをすると、にこやかで夫婦の仲がいい様子だった。自殺するような人には見えなかった。気の毒だ」と表情を曇らせた。

 同マンションに住む60代男性は「午前6時半ごろ自宅に車で戻るとパトカーが来て、警察がマンション上層階から距離を測る鑑識活動をしていた。昨日は松岡(農相)さんが自殺したばかりで嫌な気分だ」と話した。【山衛守剛、杉埜水脈】

最終更新:5月29日15時15分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070529-00000048-mai-soci


 緑資源機構による官製談合問題が、如何に根深く、墓場まで持って行きたい内容なのかを予測させる。御両者とも、本当に国民に申し訳無いと思ったのなら、生き抜いて全部を曝け出すのが当然であった。緑資源機構の現理事長前田直登氏は、談合事案の責任を取って辞任し、彼が把握している全てをきちんと国民に説明して欲しい。

(追記)

 松岡氏の国民宛遺書が公開された。参考のため、追記する。

松岡農相自殺:遺書8通残す 「国民の皆様」宛てなど判明

 故松岡利勝農相が残した8通の遺書のうち、封書の6通のあて名は▽安倍晋三首相▽縁せき関係にある島根県選出の景山俊太郎参院議員▽小林芳雄・農水事務次官▽青山豊久農相秘書官と警護官(本名)▽小泉純一郎前首相の前秘書官の飯島勲氏▽事務所の事務担当者(本名)。そのほか、「国民の皆様 後援会の皆様」と題された農水省のA4判の便せんに横書きで記された遺書の全文と、発見者のために便せんに書かれたとみられるものは次の通り。

 ◇国民の皆様 後援会の皆様

 私自身の不明、不徳の為(ため)、お騒がせ致しましたこと、ご迷惑をおかけ致しましたこと、衷心からお詫(わ)び申し上げます。

 自分の身命を持って責任とお詫びに代えさせていただきます。

 なにとぞお許し下さいませ。

 残された者達には、皆様方のお情けを賜りますようお願い申し上げます。

 安倍総理 日本国万歳

 平成19年5月28日 松岡利勝

 ◇(発見者のために書かれたとみられるもの)

 家族への手紙は、女房が分かるところにありますので、ぜひ探さないで下さい。

 女房が来るまでは、どこにも触れないで下さい。

毎日新聞 2007年5月29日 15時00分
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20070529k0000e040076000c.html

 些かの哀切を感じた。重ねて、松岡氏の霊に安らかなれと祈る。

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