我々国民の受信料で成り立っているNHKが本来やるべき取材と放映を民放で
観た。原発の冷却に使われている高温の廃水が、原発周辺の海に与えている
深刻な自然破壊の様子が明らかになった。
福島の事故以降この2年半くらいの間日本の原発は全て停止している。日本の
原発は冷却用に大量の海水を利用しているので暖められた大量の温排水は再
び海へ放出される。このため周辺の海は海水温度が上昇して日本古来の生態
系の破壊が進んでいる。その様子をTVカメラが鮮明に捉えていた。
原発が稼働を始めてから20年位経つところでは、周辺の海藻は全く育たず獲
れる魚は熱帯魚のような南方系のものばかりになってしまったと漁民たちは嘆
いていた。それが、原発が停止してから僅か2年ないし2年半の間に海藻が育
ち始め、絶滅してしまったヒジキが少しづつ戻ってきているのだという。
その違いは、同じ場所で撮影した過去の映像と比べてみれば一目瞭然である。
原発を止めれば海は再び昔の豊かな海に戻るということを実証している。(上の
写真)
原発は熱効率が悪い。利用できる熱エネルギーは30%程度。これに対して最
新の火力発電では60%に達するのだそうである。使われなかった残りの熱エ
ネルギー70%は海に捨てるしかない。
一度事故を起こせば周辺に放射能をまき散らして人も動物も住めなくしてしま
い、植物や魚を汚染して食べられなくしてしまう。そういう直近の危険だけでな
く、原発の温排水がもたらす生態系の破壊という長年月に亘る自然破壊は「原
発は止めよ」という警鐘なのであろう。
福島で”安全神話”は根底から覆った筈なのに、そして福島の事故がまだ収束
へ向かうどころか真の原因究明すらできていない上、汚染水の処理も遅々とし
て進んでいないのに、現政権は前のめりに原発の再稼働や原発の輸出まで強
引に押し進めようとしている。今こそ立ち止まって将来の在り方を考え直すべき
なのに・・・
原発周辺の海の様子をづっと調査し続けている京都大学の益田准教授は「今
日明日の事だけ考えるのではなく、千年先を見通して判断した方がよい」と仰っ
ている。国の政治が問われているのだと思う。
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