先週闘病中のJinさんを見舞ったときは、高熱が続いたとかでかなり大儀そうだった。
それでもトイレは点滴の装置を引きずって一人で行ってきた。これまではトイレから帰るとベットに座って暫く話をしたのだけれど、その日は何だか酷く辛そうで「悪いけど横にならせてもらうよ・・・」と言って横になってしまった。「見舞い」といったって雑談をして気を紛らす程度のことくらいしか出来ないから、却って身体に障ってもいけないと思い20分そこそこで引き上げて来たのだった。
そんな訳で今週は未だ彼を訪ねていなかった。いつものように会社を少し早めに退出して病院へ行った。あれから10日ぶりである。病室がいつの間にか変わっていて、ナース・ルームへ続くドアが開放されている。何かあればすぐ看護婦が気付くように部屋を変えたのだろうか・・・
Jinさんは眠っているのか目を瞑っている。呼びかけると、うっすら目を開いた。小さな声で囁くように「ありがとう」と云ってすぐまた目を閉じた。痩せて顔が小さくなってしまった。黙っていられなくなって独り言のように本を話題にしてみたがまるで反応がない。ややあって急に目を開け、また小さな声で囁くように「すぐ眠ってしまうんだよ・・・」という。
10分ほど黙ってベッド際に座っていたが長居は出来ないので、彼の手を握って「また来るよ」と云うと強く握りかえしてきた。何だか逢う度元気がなくなってきて、日を追うごとに悪くなってゆくような気がしてならない。
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