まるくなった

　　　　　　　　　　　　　　　　　　
こちらの言うことを素直に「はい、はい」聴いてくれていたのは、一体どれくらい昔だったのだろうか・・・　近頃では一寸でもヘタなこと言おうものなら、直ぐに噛み付かれる。
そんなカミサンと、毎週末は一緒に一週間分の食料を買出しに行かねばならない。普段は夫々の生活を互いに干渉しないようにしているので、一緒に出掛けることは殆んどないのだけれど、買出しの時だけは仕方がない。

先週末のこと、道すがら車のなかで勝気な人間が多いという話から、歳をとったせいか最近はまるくなって他人に対して譲る気持ちが出てきた、とカミサンが自分自身でいう。
本人がいうので、別に否定もせず黙って「ふ～ん」と聴いていたけれど、性格が年齢で変わってくるものか知らん・・と内心納得しかねていた。

車がいつもの渋滞する交差点に差し掛かった。３，４回待たされたあと、次の信号で赤に変わる直前、前の車だけギリギリ通過して行き、私はブレーキを踏んだ。

「ホラ、ホラ何やってんのよ、行っちゃいなさいよ！」
　　「いいじゃないか、別に急ぐわけじゃないんだから・・・」
「トイレにも行きたいし、もう・・・運転がスムーズじゃないんだから！」
　　「・・・・・・」

ぬしの一体何処がまるくなったんじゃい！