テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

― 氷原のどこかに ―

2013-07-09 21:57:29 | ブックス
「こんにちわァ、テディちゃでス!
 ふァ~、もゥ~へとへとォ~…」
「がるる!ぐるるがるぅ~…」(←訳:虎です!つらいですぅ~…)

 こんにちは、ネーさです。
 東京、いえ、日本各地で猛暑が続いていますね……
 本日の読書タイムは、
 寒さの極地・北極へ向かってみましょう!
 こちらを、どうぞ~!

  



 
              ―― アグルーカの行方 ――



 著者は角幡唯介(かくはた・ゆうすけ)さん、2012年9月に発行されました。
 『129人死亡、フランクリン隊が見た北極』と副題が付されています。

 前回記事では《幸福》と《楽園》を探す旅行記を御紹介いたしましたが、
 こちらは、その正反対!
 極北の地獄を訪ねる旅路……というべきでしょうか。

「あうううッ? じごくゥ?!?」
「ぐるるー!」(←訳:怖いよー!)

 世界史が得意な活字マニアさんでしたら、
 フランクリン隊、と聞いてピンと来た方もおられることでしょう。

 時は19世紀。
 ヨーロッパとアジアを結ぶ“北西航路”を発見すべく、
 大英帝国が国の威信をかけて送り出した大探検隊が、
 フランクリン隊でした。

 隊の指揮を執るのは、
 ジョン・フランクリン卿。
 著名な探検家であり、人気者でもあった彼が率いるのは、
 当時の最新技術と設備を惜しみなく投入した
 軍艦エレバス号とテラー号。

 1945年5月19日、
 英国民の期待を背負って、
 フランクリン隊はロンドン近郊の港から出航し、そして――

「そしてッ?」
「がるる?」(←訳:そして?)

 そして、
 彼らは帰ってきませんでした。

 フランクリン隊は、北の海で行方不明になったのです。

「ゆッ、ゆくえェふめいィ?」
「ぐるぐる?」(←訳:最新艦が?)

 氷から船を守るため船首には鋼板が張られ、
 蒸気エンジンやスクリュープロペラも搭載。
 1200冊もの蔵書を備えた図書室、
 船室には温水暖房が施工されていた豪華な軍艦に
 死角はない、はず……でしたが。

 いったいフランクリン隊に何が起こったのか?
 北極探検史上、
 最悪の結末を招いてしまった原因は、何なのか?

 多くの研究者さんたちが
 以前からフランクリン隊遭難の真相解明に取り組んできました。
 
 この御本の著者・角幡さんも
 フランクリン隊遭難の謎にかねてより興味を抱き、
 独自に調査を進めるうち、
 強い思いに駆られるようになります。

    彼らが見た風景を自分でも見てみたい!

「そッそれでッ??」
「ぐるぐるがるるっ?」(←訳:もしやのまさかっ?)

 2011年、3月。
 友人の探検家・荻田泰永さんと、
 角幡さんはカナダ北極圏のレゾリュート湾を出発します。

 フランクリン隊の跡をたどる旅へ……!

「こごえちゃうゥッ!」
「ぐるがるる!」(←訳:難路だよう!)

 難路をゆく、アグルーカの幻をたずねて。

 そう、御本題名のアグルーカとは、
 イヌイット語で
 『大股で歩く男』を意味する言葉です。
 背が高く、果断な性格の人がそう呼ばれたといいますが、
 フランクリン隊にアグルーカはいたのでしょうか。
 いたとしたら、
 そのアグルーカは何処へ行ったのか――

「まるでェ、かげろうゥのォ、ようでス!」
「ぐるるがるる?」(←訳:実体はあるの?)

 地図は空白だらけだった19世紀の旅と、
 衛星の眼が世界を覆う現代の旅。
 鮮烈な対比を為しながら
 一歩また一歩と進む氷の国の旅。

 凄絶、凄惨なシーンも描かれているので、
 躊躇する活字マニアさんもおられるかもしれませんが、
 ノンフィクション好きな御方に
 おすすめの力作です!
 ぜひ一読を!


 
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« シャングリラを探して。 | トップ | 飲んで乗り切れ? »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブックス」カテゴリの最新記事