テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ いつの世も、弱くて、強くて ~

2024-04-14 22:04:05 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 さとざくらァ、きれいィ~でス!」

「がるる!ぐるるがるるる~!」(←訳:虎です!八重もいいよね~!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 ぷっくりと大ぶりで、八重咲のサトザクラ。

 ソメイヨシノよりちょっと遅れて咲くピンク色の花も

 《春の美》ですね。

 花の下をそぞろ歩いた後の読書タイムは、

 さあ、こちらの新書作品を、どうぞ~♪

  

 

 

            ―― 愛の絵 ――

 

 

 著者は中野京子(なかの・きょうこ)さん、

 2023年12月に発行されました。

 『Pictures of Love』と英語題名が付されています。

 前々回記事の『名画と建造物』に続いて、

 中野さんの美術エッセイ作品登場!となりました。

 

 『名画と建造物』が

 絵画の中の建築を取り上げられているのに対し、

 この御本――『愛の絵』で主題となっているのは、

 名画に描かれた感情の動き、

 つまり、”ひとのこころ”……。

 

「うゥ~むゥ、むずかしィのでスゥ!」

「ぐるるるーるがるるるぐる~…」(←訳:コントロールできないよね~…)

 

 本文は、

 第1章『甘美な恋への憧れ』

 第2章『そして、狂気へ』

 第3章『子供をめぐる愛』

 第4章『運命の絆』

 と4つの章に分けられ、

 絵画52作品に見る“こころの動き”が論じられています。

 

 ウィリアム・アドルフ・ブグローさんの

 『アモルとプシュケー、子供たち』(1889)に

 初々しい恋の始まりを観、

 ジョン・ホワイト・アレクサンダーさんの

 『イザベラとバジルの鉢』(1897)には

 肉親にに追い詰められた孤独な少女の孤独と狂気を、

 アドルフ・フォン・メンツェルさんの

 『フリードリッヒ大王とヨーゼフ二世の会見』(1855-57)に

 英雄への憧れを想う――

 

 そんな中で、一見したところでは割と地味なのに、

 考えれば考えるほど怖ろしいのは、おそらく、

 『えこひいき』

 という”こころの動き”かもしれません。

 

「うむゥ、だいもんだいィでス!」

「がるるるぐるる!」(←訳:モヤモヤするよ!)

 

 ウィリアム・ブレイクさんの

 『神の怒りから逃れるカイン

  (アダムとイブに発見されたアベルの遺体)』(1826頃)

 を例に挙げて語られるのは、

 『カインとアベルの物語』です。

 

 神に認められ、愛されている兄アベルと、

 神から無視され、認めてもらえない弟カイン。

 

 たかが、ひいき? 

 いいえ、たかがじゃありません。

 

 兄はえこひいきされている、不公平だ、

 なぜ俺を認めてくれないんだ、と

 弟のこころに真っ暗な感情が積もり積もってゆけば、

 やがて起こるのは、償い切れない罪と、破滅。

 

 心理学者ユングさんの言う

 『カイン・コンプレックス』は、

 とても現代的な、

 いえ、非常に普遍的でいつの時代にも共通する

 ”こころに潜む罠”でしょうか。

 

「どろぬまァ、でスゥ~…」

「ぐるるるがるるる……」(←訳:底なしのドロドロ……)

 

 ポジティブだったり

 ネガティブだったり、

 明るかったり

 暗かったり、

 弱いかと思えば強靭になったり、

 ”こころの動き”ほど手に負えないものはなし。

 

 美術エッセイではありますが、

 心理学の参考にもなりそうな

 ”こころの動き”を把(つか)み取る新書作品は、

 ミステリ好きな活字マニアさんにもおすすめですよ。

 ぜひ、本屋さんで探してみてくださいね~♪

 

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