「こんにちわッ、テディちゃでス!
さとざくらァ、きれいィ~でス!」
「がるる!ぐるるがるるる~!」(←訳:虎です!八重もいいよね~!)
こんにちは、ネーさです。
ぷっくりと大ぶりで、八重咲のサトザクラ。
ソメイヨシノよりちょっと遅れて咲くピンク色の花も
《春の美》ですね。
花の下をそぞろ歩いた後の読書タイムは、
さあ、こちらの新書作品を、どうぞ~♪
―― 愛の絵 ――
著者は中野京子(なかの・きょうこ)さん、
2023年12月に発行されました。
『Pictures of Love』と英語題名が付されています。
前々回記事の『名画と建造物』に続いて、
中野さんの美術エッセイ作品登場!となりました。
『名画と建造物』が
絵画の中の建築を取り上げられているのに対し、
この御本――『愛の絵』で主題となっているのは、
名画に描かれた感情の動き、
つまり、”ひとのこころ”……。
「うゥ~むゥ、むずかしィのでスゥ!」
「ぐるるるーるがるるるぐる~…」(←訳:コントロールできないよね~…)
本文は、
第1章『甘美な恋への憧れ』
第2章『そして、狂気へ』
第3章『子供をめぐる愛』
第4章『運命の絆』
と4つの章に分けられ、
絵画52作品に見る“こころの動き”が論じられています。
ウィリアム・アドルフ・ブグローさんの
『アモルとプシュケー、子供たち』(1889)に
初々しい恋の始まりを観、
ジョン・ホワイト・アレクサンダーさんの
『イザベラとバジルの鉢』(1897)には
肉親にに追い詰められた孤独な少女の孤独と狂気を、
アドルフ・フォン・メンツェルさんの
『フリードリッヒ大王とヨーゼフ二世の会見』(1855-57)に
英雄への憧れを想う――
そんな中で、一見したところでは割と地味なのに、
考えれば考えるほど怖ろしいのは、おそらく、
『えこひいき』
という”こころの動き”かもしれません。
「うむゥ、だいもんだいィでス!」
「がるるるぐるる!」(←訳:モヤモヤするよ!)
ウィリアム・ブレイクさんの
『神の怒りから逃れるカイン
(アダムとイブに発見されたアベルの遺体)』(1826頃)
を例に挙げて語られるのは、
『カインとアベルの物語』です。
神に認められ、愛されている兄アベルと、
神から無視され、認めてもらえない弟カイン。
たかが、ひいき?
いいえ、たかがじゃありません。
兄はえこひいきされている、不公平だ、
なぜ俺を認めてくれないんだ、と
弟のこころに真っ暗な感情が積もり積もってゆけば、
やがて起こるのは、償い切れない罪と、破滅。
心理学者ユングさんの言う
『カイン・コンプレックス』は、
とても現代的な、
いえ、非常に普遍的でいつの時代にも共通する
”こころに潜む罠”でしょうか。
「どろぬまァ、でスゥ~…」
「ぐるるるがるるる……」(←訳:底なしのドロドロ……)
ポジティブだったり
ネガティブだったり、
明るかったり
暗かったり、
弱いかと思えば強靭になったり、
”こころの動き”ほど手に負えないものはなし。
美術エッセイではありますが、
心理学の参考にもなりそうな
”こころの動き”を把(つか)み取る新書作品は、
ミステリ好きな活字マニアさんにもおすすめですよ。
ぜひ、本屋さんで探してみてくださいね~♪