テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

必然の光。

2018-04-08 22:20:14 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 きょうはァ、はなまつりィ~♪」
「がるる!ぐるるがる!」(←訳:虎です!静かな祝祭!)

 こんにちは、ネーさです。
 今日4月8日はお釈迦さまの誕生日――花祭り。
 ならば読書タイムも
 古代の偉人さんに登場していただきましょう。
 こちらを、どうぞ~♪

  



      ―― ギリシア人の物語Ⅲ 新しき力 ――



 著者は塩野七生(しおの・ななみ)さん、2017年12月に発行されました。
 第1巻『民主政の始まり』
 第2巻『民主政の成熟と崩壊』に続く
 《ギリシア人の物語》第3巻は、
 表紙のお写真から、いえ、御本の雰囲気からも判りますね。

 マケドニアの若き王、アレクサンドロス。

「じつざいのォ、じんぶつゥでスけどォ~…」
「ぐるるるがる!」(←訳:ほとんど神話!)

 ええ、そうよね、
 確かにこの世に存在した、
 ノンフィクショナルな存在――
 それがアレクサンドロスさん、なのですが。

 伝えられているその偉業の、
 凄まじさゆえか、まばゆさゆえか、
 私たちはなかなか実感できません。

 彼は、どんなひとであったのか。

 もちろん賢く、
 もちろん武勇に長けた超一流の武将であり、
 もちろん好奇心あふれる科学者であり、
 もちろん、
 歴史に類例なき征服者であった……けれども。

 そのこころを、誰が知ろう?

「しおのさんにはァ~…」
「がるぐる!」(←訳:解るかも!)

 アレクサンドロス王に捧げるこの一冊を、
 しかし、著者・塩野さんは
 不穏な気配を漂わせながら語り始めます。

 ギリシアの、都市(ポリス)体制が
 崩壊しようとしている――

 政治・軍事・経済・文化、すべての点で
 アテネは沈み、
 スパルタは次代の覇権国家足りえず、
 テーベは勝者になり切れない……。

「でもォ、うまれたのでスゥ!」
「ぐるるるるるがるるぐるる!」(←訳:マケドニアに新しい生命が!)

 崩壊の後に射す
 一条の光――

 ギリシアの北方にあるマケドニアは
 王政の国家でした。

 同じギリシア語を話してはいても、
 都市国家ではないマケドニアを
 アテネやスパルタの人々は“後進”の国と
 見做していたかもしれません。

 そのマケドイア王国の、
 フィリッポス二世を父に、
 隣国エピロスのオリンピアス王女を母に、
 紀元前356年7月、
 男児が誕生します。

 黒色の巻き毛を持つ少年が
 初陣を飾ったのは17歳のとき。

 そして、20歳。

 彼は、父王を喪いました、が。

「おうざがァ!」
「がるぐるる!」(←訳:すぐそこに!)

 そう、王座が空となっても、
 そこにひょひょいっと座れるとは限りません。

 自力で勝ち取り、
 自力で維持し、
 自力で治めねばならない――

 まだ見ぬ自分の王国を。

「せかいのォはてまでッ!」
「ぐるるるー!」(←訳:遠征の旅ー!)

 短くも濃く、
 余人に為し得ない《王の夢》を
 塩野さんは一字一字に思いのたけを託し、
 問いかけます。

 彼は、何者だったのか?

「ゆいいつのォ、おうさまッ!」
「がるぐっるるるるがるるるる!」(←訳:誰も会ったことのないような!)

 御本の巻末には、
 アレクアンドロス王の年表、
 ヘレニズムの彫刻の写真と、
 塩野さんによる
 『十七歳の夏――読者に』
 と題された短い文章も収録されています。

 塩野さんのファンの方々にとっては
 涙腺をじわじわと刺激されるこの“最後のページ”まで、
 どうか皆さま、
 一読ならぬ熟読を、ぜひ!
  

 
 
コメント
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