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Brugge Style
美食とアートのスペイン・バスク
長らくご無沙汰いたしました。
みなさま、わたくしのことお忘れでは。
在ベルギーの友人とスペイン・ビルバオ空港で待ち合わせし、二人三脚、バスク地方をレンタカーで旅した。
何から書きとめようか。
バスクの美食、緑のピレネー山脈と青い大西洋のビスケー湾、バレンシアガの故郷、そしてビルバオの名前を一躍有名にした現代アート...
バスク地方を訪れる動機となった、97年に完成したビルバオ・グッゲンハイム美術館から始めよう。
神戸のフィッシュ・ダンスを最初のきっかけとして大ファンになったフランク・ゲーリーの建築。
ガラス、チタニウム、石灰岩でできた建物は、どの角度から見ても壮大で形がおもしろく、とても絵になる。
工業都市として栄えたこの土地の地面からにょきにょきと生えて来たかのようだ。
セラのThe Matter of Timeは、ケーキの上に乗ったチョコレート・コポー(削ぎチョコ)のようで、まるで自分が小人になってチョコレートの壁の間を歩いているよう。
大っ好き、この作品。世界で一番好きなインスタレーションかもしれない。
4.3メートルの高さのスチール製、8つから構成されている。
しかも美術館内のこの空間はFish Gallery「魚のギャラリー」と呼ばれる。
そして大大大好きなロスコー作品も。
有限と無限、瞑想と祈り。
あるいはバスクの夕焼けに照らさる大地のよう。
この部屋で1時間半も過ごしたため、レストランの予約までに他に何も見られなかったくらいだった。
続きます。
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パリと神戸のフィッシュダンス
神戸のメリケンパークに「フィッシュダンス」という踊る魚(鯉・なぜなら「鯉川筋」の一番先なので!)の形の建物がある。
高さ22メートル。
結構大きい。
バブル世代にとっては特別な思いがあるこのオブジェは、1987年に神戸開港120年を記念して設置された。
バブル期にはカフェ・バーとしてとてもおしゃれなスポットだったのである。これを覚えている方がおられたら乞連絡(笑)。
当時に比べたらたいへん物寂しいこの周辺だが、帰省するたびに立ち寄らずにはいられない。
何かすてきなことが起こりそうな可能性がかつてそこにはあり、しかし起こらなかったので、今もどうしてもその可能性をチェックしに行ってしまう...ような感じなのだ。
こちら建築家フランク・ゲーリーの設計(監修は安藤忠雄さん)である。
今回、建築家にしてデザイナーであったシャルロット・ペリアンの展覧会を見るために、パリのファンデーション・ルイ・ヴィトン(ルイ・ヴィトン財団。建築はフランク・ゲーリー。パリのブローニュの森にある芸術多目的ホール)に出かけた。
この展覧会ももちろんよかったのだが(この話はまた後日...)、屋内のル・フランクというカフェ天井に飾られた魚のオブジェを見ておおっと声が出た。
フランク・ゲーリーの踊る魚!
80年代の神戸と21世紀のパリの美術館がつながっている。
今、このカフェ内で、このことに気がついているのはわたしだけに違いない、という喜び。
建築家がわたしにウィンクしている。
フランク・ゲーリーに「あなたのサインに気がつきました!」と電話ができるならすぐにしたい。
ものは錆つき、取り壊され、いずれ消えるが「それ」は残る。
ベルギー人の夫は「魚」が東西でつながったその喜びを知らないので、次回は当時の神戸を知る友達と行きたい。
いや、来月日本訪問時にはメリケンパークのフィッシュ・ダンスを指して、夫に「ほら、この魚! 何と繋がってるでしょう?」と聞いてみよう。
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