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イングランドの夏と窓




英国隔離生活13週目が終わろうとしている。
季節も春から夏へ。

今日は朝から霧のような雨が降っている。

暑いのが好きなわたしでもとてもありがたい...というのは今週は記録的な暑さだったからだ。

一昨日はついにうちの温度計は37度を指した。


英国の家というのは基本的に熱を逃さないようにできている。

もともとは緯度が高く「寒いところ」だったからだ(と思う)。
ちなみにロンドンは北緯51度で、モスクワと同じ。ロンドンの気温がモスクワほどでないのは暖流のおかげだそう。
札幌で40度、東京は30度でエジプトのカイロと同じ。そら暑いわな...

英国の庶民の家の窓サイズが小さめで少なめなのも保温の知恵なのかも...


いや、窓の数が比較的少ないのは、17世期末、ウイリアム三世の時代に家屋の窓の数に対して累進課税をかけたためだ。
英国の街を歩いていると、レンガや漆喰で埋められた窓の形骸をしばしば見かける。超芸術「トマソン」(不動産に付属した無料の長物)の一種かと思っていたが、これは節税のための苦肉の策だったわけですな。

この税は貧困家庭を直撃、窓の数や通気口を減らされ、日当たりと換気の悪い家庭ではチフス、天然痘、コレラ疫病が蔓延したという。
子供の成長や精神の健康にもめちゃくちゃ悪い。

もちろん所得税が導入された現在ではこの税は廃止されているが、英国の家屋のファッションとして残り、比較的新しく建てられた家でも受け継がれているのではないかと思う。

しかし昨今のグローバル・ウォーミングの結果上昇した気温には対応できないわけです...!


わたしはサリー州のたいへん緑豊かなエリアに住んでおり、南向きの庭に向かっては壁全面のガラス扉が開くが、反対側(北側)の窓が小さいので風が家の中を抜けていかないのである。
凪いだ空気が家の前で止まっているのが分かる...!!
昼間の暑い空気が夜中になっても家の中に篭り、扇風機をつけても澱んだ空気をかき回すだけでとにかく暑い。
家の壁は夜中になっても熱を溜めて魔法瓶のように熱い。

年/猛暑日で考えるとクーラーの設置は割りに合わない。

ハンモックを張って庭で寝ようかと何度思ったことか。

例えば南仏でも同じような気温だとは思うが、あちらの家は元から暑さに対応するようできている。外は酷暑でも日陰は涼しい。
家の周りには背の高い木が並び、木陰を作る。
床はひんやりした石か木材。天井は高く、窓も床から天井まであり、各部屋の扉はフレンチドアで大きく、シャッターつきで、外と内の境界が少ない。
日向を優しく遮る日除け。
庭にはドボンと飛び込めるプール!!

今後英国で新築の家のファッションもゆっくり変わっていくのかもしれない、なんてことを考えた。

ここ、イングランド南部では雪も積もらないし、冬手袋や帽子が必要になることもほとんど全くないから。


(上の写真はイタリアの窓。わたしの理想の窓!)


......


今夜もロンドンのロイヤル・オペラ・ハウスから音楽とバレエの生中継があります!
日本だと夜中の3時半からになってしまうが、ロマンティック。明日お休みの方はぜひ。チケットが必要です。

https://stream.roh.org.uk/?_ga=2.13471668.280451234.1593255075-1140964602.1590168359
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