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地中海をスペインの方向へ夏を追いかけて




南仏の東側、イタリアまで続く地中海の海岸沿いはリヴィエラとして大変有名だが、西方はもちろんスペインまで続く。

スペイン国境がわずか20キロ先にある(マヨルカ王やアラゴン王によって何度もスペイン領になっている)コリウールは、西側の代表的な地中海沿い海岸だ。


華麗なホテルやブティックが立ち並ぶイメージが先走るコートダジュールとはまた違った雰囲気で、ブランド店もなければ、リッチな美女も歩いていないが光と色がとにかく美しい。




色といえば...

コリウールが有名なのは、20世紀初頭にフォービズムのメンバーが代わる代わるこちらを訪れて制作したからだろう。
マチス、ドラン、フリエス、ブラック、他にピカソ、フジタも、コリウールの海岸に集まっている王宮や聖母教会、港に魅了されたのだという。



「フォーヴィスムはキュビズムのように理知的ではなく、感覚を重視し、色彩はデッサンや構図に従属するものではなく、芸術家の主観的な感覚を表現するための道具として、自由に使われるべきであるとする。ルネサンス以降の伝統である写実主義とは決別し、目に映る色彩ではなく、心が感じる色彩を表現した。」(Wikipediaより)



マチスの『赤い海岸』


結構急斜面の丘に沿って発達するコリウールの村には今も多くの「芸術家」が住んでいるという。

なるほど、コリウールだけでなく南仏のこぢんまりした美しい村々には、世界中から集まってきた多くの芸術家らが住み着き、作品を販売しているのを見かけるが、シロウト目で見ても、箸にも棒にもかからないようなものも少なくはない。
どうやって生計を立てているのだろうかと心配になるようなケースも...余計なお世話。

だが、100年に1人か2人か出るような芸術家だけでなく、たとえ平凡な芸術家でも、自身の情熱や愛や楽しみを追求しながら、そこそこの生活ができるようなコミュニティこそがよい社会なのではないか。

フランスには確かにそういう懐の深さがある。


無為徒食者は美しい色のソルベを食べながら思ったのである。
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