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安藤さんのbourse de commerce





パリ、7月が終わる前に。

美術館として改築されたBourse de commerce(直訳で商業取引所)に、現代アートのピノー・コレクションが50年リースで入り、華々しくオープンしたのは、去年2021年5月。

新型コロナウイルス禍のため2020年の完成から一年延期されたのだった。




それからまた一年後。
やっと見に行けた!

1番の目玉は内部中心部に配置された、安藤忠雄さんによる高さ10メートルのコンクリート・シリンダーであろう。

こちらはメイン展示室でありつつも、そのものが巨大なアートとして独特の雰囲気を醸し出す。




わたしが興味があったのは、19世紀の改装時にロタンダに加えられたフレスコ画である。

商業取引所だけあって、世界の「東西南北」の国々を象徴する人物や産物で彩られている。
「5大陸間の貿易の歴史を表している」そうだ。
貿易はいいけれど、ほとんど不均衡な搾取の歴史ではないか...




世界の国々を象徴した神話的な人物像におもねる冒険者姿の西洋人が、勇敢な人々というよりは多少卑しく描かれているような気がする。
わたしの方のバイヤスなのかしらん?

上の写真、日本を象徴しているらしい優雅な女性像の着物を調べる西洋人の男性...おいおい、なんとガサツなことか。でもこれ、たぶん世界の隅々にまで出かけていった西洋人を讃えているのだろう。「停滞的アジア」に比して。

ヨーロッパ諸国はヨーロッパ内部での争いで武力を洗練させ、海運力を利用して、アフリカ、アジア、アメリカへ進出、新市場を獲得し続けた。
資本主義は持続的成長、拡大と支配・従属関係の上に成り立つという、国際政治経済秩序におけるゲームのルールを携えて。




ヨーロッパの拡大とは、異文化に属する人々との接触、異文化の包摂を意味している。





もうひとつ魅力的なのは、この建物の元々の形であったマリー・ド・メディチの16世紀のグランドハウスに付属した「メディチ家の柱」と呼ばれる塔。占星術のために星を観測する展望台だった。

この時代の占星術といえば、マリー・ド・メディチの親の代までちょっと時代が遡るが、なんといってもノストラダムスでしょう!


パリの空の下セーヌは流れる、のである


パリ...もう勘定できないほど訪れている。

わたしが死ぬまでにやりたいことのリストには「2年間パリに住む」というのがある。
他には「オリエント急行で旅行する」「シベリア鉄道で旅行する」「神戸に帰ってベルギー式の喫茶店を開く」「政治活動をする」...他が残っている。

このリスト、叶ったことも結構あるのだ。「(外国人が永住ビザを取りにくい)イングランドに住む」とか「オペラ・バレエなどの芸術パトロンになる」などなど。

先が見えてきたのでこの辺で大胆に行動すべきか? それとも新型コロナ禍は黄信号を出しているのか?
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