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kissin 2019




興奮冷めやらぬロンドンの夜。

毎年同じ時期に開催される、エフゲニー・キーシンのピアノリサイタルに今年も行ってきた。

Chopin
Nocturne in F-Minor op. 55-1
Nocturne in G-Major op. 37-2
Nocturne in E-Major op. 62-2


Schumann
Sonata 3

Debussy
8 Preludes:
Danseuses de Delphes
Les collines d'Anacapri
Ce qu'a vu le vent d'Ouest
La fille aux cheveux de lin
La sérénade interrompue
La Cathédrale engloutie
Général Lavine - eccentric
Feux d’artifice


Scriabin
Sonata 4



去年も感動からなかなか抜けられず、普段クラシックを聴かない友達に解説をしようとカバラなんかを持ち出し、それをこのブログにも載せるという愚を犯したのだった(笑)。
以下、今年は控えめにしておきます...


シューマンのソナタ4番は、生演奏を聴く機会はあまりないが大好きだ(娘のピアノの先生とは曲の好みが合うのに、この曲を好きだと言った時は、ええっ? とのけぞられた)。
今回、彼の演奏を聴いて、ド素人なりにこの難しいソナタをシューマンがどういう意図で組み立てたかが気持ち良いほど理解できたような気がした。
シューマンはこの大ソナタを書き終わってそのときやっと、自分が創作したかったものが何であったか分かったに違いない。

ドビュッシー、すごかった...8幕ものの『悲劇の誕生』的ギリシャ劇のようだった! 

実は後半開始直後から客席側に問題が起こり、曲の演奏途中でステージ・マネージャーらしき2名が舞台に上がってき、演奏を中断させられたキーシン氏...
バレエでダンサーが負傷のために中断したり中止になったケースは何度も見たことがあるが、音楽会では初めてでほんとうに驚いた。

しかし巨匠、全く動揺せず。「あ、エマージェンシーだそうです」と客席に声をかけて楽屋へ...大騒ぎする客席。2つ隣のマダムは「ミスター・キーシンに何かあったんじゃないわよね? ね?」と両隣の人に聞く聞く。
5分後には関係者が「医療エマージェンシーで中断しました。続けます」と。

スクリャービンの瞑想のような美しすぎるソナタで泣かされた。

アンコールは3回(去年は5回だったの!)。最後のショパンの華麗なる円舞曲34−1で爆盛り上がり。


彼の演奏には世界の全てがある。



わたしが美に直撃されて動けなくなったり、呼吸困難になったり、泣かされるのは、断トツでクラシック音楽、バレエ、絵画、自然、彫刻、文学の順かな...
あなたはいかがでしょうか。

次、生まれ変わったら人を泣かす側の人になってみたいです。
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