花鳥虫風月

α9とX100Vで、主に京都の花鳥写真で綴る重め写真ブログ。

α550を見てきた

2009年10月11日 23時23分35秒 | Weblog
最近のソニーのα事業は方向性がおかしい、と、もっぱらの悪評である。
私もそう思う。
ので、多くの人がαに見切りをつけて売却するなら、中古市場に多くの中古レンズが出回って値崩れもするだろうと大いに期待していたのだが、そういうことは無く。
今に始まったことではないがあらためて、声ばかり大きいマニアの言うことほどあてにならないことはない。忌々しい。

そういう気分も込めて、外国では発売済みであるのに日本では来週発売のはずが来月に延期された、例のα550というカメラを梅田のソニープラザで触ってみてきた。

このカメラの売りは、きれいな液晶でのスピーディなライブビューと、新機能オートHDRと、コンパクトデジカメからフィードバックされた顔認識AF・スマイルシャッター機能の搭載である。あと、連写が早くなったのと高感度のノイズ処理に強くなったということもある。
個人的な興味はHDRとスマイルシャッターにある。

オートHDRとは、暗め・明るめに2枚連写して撮った写真をカメラの中で合成して、明るすぎる部分は暗めに、暗すぎる部分を明るめにした写真を作ってくれる機能だ。
例えば、窓のある部屋の写真を撮る時、趣味的あるいは作品的な写真にするときは明暗差を活かしたコントラストの強い絵にしたいものだが、お仕事に使う写真でクライアントさんから「写真の特性とかどうでもいいから窓の外も部屋の中も全部見せたい」という要望の時に、手作業で合成していたものを、もうカメラが自動で合成してくれる。
そういう機能は今までのDRO機能がそれであったわけだが、暗い部分が緑っぽく写るのとノイズっぽくなるのが欠点だった。
そこがキレイであれば素晴らしいと思って見て来たところ、実に良さげであって満足できた。
暗い・明るいの2枚を撮る間にカメラが大きくぶれると失敗写真になるわけだが、普通に広角で撮るのには手持ち撮影でも問題なく、光学+電子式補正でブレなく仕上げてくれる。
失敗写真も何か前衛的でシュールな味わいがある。ネタのひらめき次第で、ずいぶん遊べそうだ。
これのためにα550を買い足そうとまでは思わないが、同僚に購入させようかと画策するには充分な出来だ。

顔認識AFはコンパクトデジカメでは既にメジャーになった機能だが、一眼レフでキビキビ反応して使えるのはコレが初めてだろう。
厳密に顔部分ではなく、ライブビューセンサーが感知した顔部分に最も近いAF測距ポイントでピントを合わせているそうだが、人間の顔なんていう大きいものを扱うならば、まぁそんなもんだろう。
人間の目、それもまつげの先にピントを合わせるのが理想!とかいうものとは別の話だ。

また、それに付随するスマイルシャッター機能は、顔認識エリアの顔が笑ったと機械が判断した時に勝手にシャッターをきってくれるものだ。
係員の紳士に笑ってもらったところ、本当にちゃんと機能したことに、面白うてやがて悲しい気持ちになったことはこれから多くのカメラマニアが同じ気持ちを共有していくことだろう。
私とても、縦グリップつきのα900を顔ごとこちらに向けられたら顔のこわばるのを自覚せずにいられないもので、これ位のカメラを使って、ライブビューで顔を外して「ホラホラ笑ったら自動で写真が撮れるんデスヨー」みたいな運びができれば、苦手な人撮りがずいぶん楽にもなるだろう。

他の使い心地は、まあまあ、ほどほど。
高感度はRAWならばどうか、と聴くのを忘れたが、興味があるわけでもない。
見た目に関しては、私は評判の悪いα330シリーズが(厚みがもっと薄ければ)好きなので、コレは詰まらないと思うがそれもどうでも良い。

貧相な光学ファインダーを「非常時に仕方なく使うオマケ」と認識して抵抗のない人なら、このカメラはとても良いはずだ。
「気楽にキレイな写真を撮る道具」として現在から少なくとも半年後まではコレに勝るカメラはあるまい。
これプラス、α700クラスのファインダーと、機能ボタン量と、顔認識用にもっと良い(ニコンのD300クラスの)AF周りがあれば、もう無敵といって良い。
それを噂ばかりのα700後継機とやらが実現したら、凄いぞ。