Digital photo's diary

自称「暇人」によるデジタル写真日記。

エピソード10 クマよけの鈴

2023年11月12日 | デジタル写真
山の学校の生徒は遠い子だと山道を5km位歩いて国道まで出て、バス停からバスに乗って通ってきます。
しかも、車に注意じゃなくてクマに注意と言う看板を見ながらクマよけの鈴を鳴らしながらの登下校です。
ですから遠くから来ている子達は部活なんかしていると帰りが真っ暗くなってしまうので授業が終わると直ぐに下校していきます。
雪が降って山道を通えなくなると学校の近くの親戚や知り合いの家に居候させてもらって冬を過ごします。
冬が来る時は幻想的で劇的な光景が見られます。
11月の末になると、黒っぽい雲が山の中腹まで降りてきて、次の日の朝には辺り一面が真っ白な銀世界と言った感じでした。
11月の末から4月の始め位までは雪の中での生活になります。
田舎なので何の楽しみも有りません。
カチカチに凍った山道をスパイクタイヤを履いて沼田までパチンコに行くのが唯一の楽しみでした。
国道17号線なら除雪してあるのですが冬場はスキー帰りの車で大渋滞するのであえて地元の人しか知らないような抜け道を使います。
沼田まで出れば美味しいラーメンも食べられたし、映画館もあったし・・・・。
そんな生活も春になると一変します。
畑にはレンゲの花が咲き乱れ、山の木々は一斉に芽吹き、学校裏を流れる川にはウグイが泳ぎ始めます。
アウトドアが好きだったからこんな生活に耐えられたのか、こんな生活をしていたからアウトドアが好きになったのか分かりませんが、私にとっては毎日が天国にいるようなものでした。
部屋に飛んでいるハエを餌にして裏の川でウグイ釣りをするのにも凝りましたね。子供達からは釣りキチ三平なんて言われていました。
川と言っても大雨が降ったりすると大きな石が位置を変えてしまうような流れの速い川です。
4年後、そんな楽しい時間も終わって、平地の中学校に戻る時が来ました。
山に行って2年位した時に「小学校なら平地に戻れるよ」と言う話はあったのですが、何年いても構わないから中学校に戻してくれと頑なに断っていました。
ちょうど70年代後半の荒れる中学校が社会問題になっていた頃です。