山羊のひとり言

気が向いたら、コメント(匿名)でひとり言にひと言を

2012-09-20 22:05:21 | 本と雑誌
桜庭一樹の「伏」を読み終えました。この作品は、彼女の「赤朽家の伝説」と同じように、二重構造のお話になっており、かつ、対比の物語です。そして、人間が「生きる」こととは何かを問うていると思います。
正と悪、秩序と自由、狩るものと狩られるもの。彼女は、その対比から、人間の本来持つ本質がその2面性にある、と言っているようです。では、人間がどうあるべきか、その結論は読者に委ねられています。
この作品での、「伏」は含蓄のある言葉です。秩序を守るとも言えるし、自由を失うとも取れるし、登場人物の犬人間を指すとも取れます。
なかなか面白い作品に出会いました。
この作品のヒントになった、「南総里見八犬伝」も読みたくなりました。