河童の歌声

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深海潜水艇タイタンの圧壊事故

2023-06-25 07:02:57 | 事件・事故


タイタニック号を見物に行く、深海潜水艇タイタンが圧壊しました。
それが何メートルで圧壊したかは、まだ分りませんが、
少なくとも、船内に残された酸素で最後まで生きていたという、最悪の事態ではなく、
一瞬にして即死した事は、苦しみが少ない分、良かったのだと思います。

世界中の海底には、何十万隻という船が沈んでいます。
特に戦争の為に沈んだ船には、逃げ出す暇もなく、
そのまま海底に引きずりこまれた船は沢山あります。
そういった船内に閉じ込められた状態だった人は、
海底に着くまで、そして海底に着いても数時間は生きていて、
精神的にも肉体的にも、地獄を味わいながらゆっくりと死んでいくのです。
そしてそういった人の死体は、永久にそのままなのです。
そういった死に方を思うと、ゾッとします。

しかし、タイタン号の5人は、そういった意味では(幸せ)でした。
一瞬で死んだ方が良かったのですから。



1981年の映画に「Uボート」があります。
この映画はヴォルフガング・ペーターゼン監督が40億円をかけて製作しました。
実物大のUボートのレプリカを建造するという力作で、
数ある潜水艦映画のトップクラスの秀作で、私は何度も観ています。

そのドイツの潜水艦がヨーロッパとアフリカ大陸との境目である、
ジブラルタル海峡を突破するのです。
狭いジブラルタル海峡を突破するという行為は命がけの危険な賭けです。

そして、案の定敵に発見されてしまい、地獄の様な爆雷攻撃を受けます。
船体に重い損傷を受けたUボートは沈没して行きます。
あらゆる手段で沈没を回避すべく努力するのですが、艦の沈下を止められなくなってしまいました。

潜水艦には深度計があり、Uボートの場合、
緑色の安全深度は100メートル、
100~165メートルはオレンジ色になっています。
165~260メートルは、赤色の危険色になっています。

ちなみに、映画に登場するUボートはドイツ海軍で最も多く製造された艦種であり、
その圧壊深度は230~250メートルとされていました。
各国の潜水艦が最も極秘とするのは、この圧壊深度なのです。

どこの国の潜水艦でも安全深度は、ほぼ圧壊深度の半分とされています。
つまり、このUボートの場合では、115~125メートルまでが、一応安全深度なのです。
160メートル辺りから緩いボルトが抜けて吹き飛んできました。
そんなボルトをまともに顔面などに受けたら大怪我をするか死ぬかです。
パイプの繋ぎ目からは激しい漏水があり、スパナできつく締め直します。

更に深度が増してくると船体は水圧で不気味なきしみ音を発し、
漏水は更に激しくなり、船体にゆがみが生じ、
それは角材などで、つっかえ棒をしないと即、圧壊に繋がりかねません。
乗組員全員が水に浸かりながら、死に物狂いになります。

そうした時に、船体は衝撃を受けて沈下が停まったのです。
それはつまり船は海底に着いたのでした、
その深度は280メートル。よくぞ保ったものです。

用の無くなった者は、酸素消費を少なくする為に眠ります、
修理をする為の人だけが十時間以上の必死の修理にたずさわります。
そして、遂に浮上できるかダメかの瞬間が訪れます。

結果は、浮上に成功したのですが・・その後は・・・

潜水艦事故というのは、深度という水圧との戦いであり、
船内に残された酸素という極めて難しい時間との戦いです。
例え沈没個所が特定できたにしても、乗組員をそこからどうやって安全に救い出すか、
そこが非常に難しく、潜水艦沈没事故から救い出された事は、奇跡というくらいなのです。

ですから、私はタイタン事故が起こった時から、
これはダメだなと思っていました。
でも、酸素地獄の死ではなく、一瞬の圧壊であったので、
こう言ってはなんですが「良かった」と思っています。

遊びで潜水艦などには、決して乗るものではありません。
兵隊の中で、最も人気の無い、なり手の無い部署、それが潜水艦なのです。
そんなトコに高額のお金を払ってまで、今更タイタニックなど見たいと思いますか?
そんなのは映像で観ていればいいと思うのですがね~。

でも、事は全て後の祭りとなってしまいました。
気の毒でしたね~。



コメント
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