
フェイスブックで、「あゝ対馬丸」という歌が歌声喫茶で唄われているのを知りました。
私はその歌を全く知らないので調べたら、
歌声喫茶で6月になると必ず唄われる「月桃」を作った、
沖縄のシンガーソングライター、海勢頭豊氏が作った歌と知りました。
海勢頭豊氏のライブ動画で、初めてその歌を聴いたのですが、
私は、その歌を唄いたいとは思いません。
というのは、学童疎開船、対馬丸がアメリカ潜水艦攻撃により沈没、
何の罪もない、何も知らない学童たちが沢山、死んでいったというのは確かに悲劇です。
人間として許せないという気持ちにもなるでしょう。
しかし、戦争というどっちが善で、どっちが悪かという世界の中で、
一方的に美化するという単純な世界でない事を知っておく必要があると思うのです。
2018年8月28日にブログで、「緑十字船・阿波丸事件」を書きました。
2023年8月27日には「学童疎開船、対馬丸の悲劇」を書きました。
対馬丸は1944年(昭和19年)8月22日に撃沈されました。
阿波丸は1945年(昭和20年)3月28日に撃沈されました。
最初に沈んだのは、学童疎開船対馬丸で、その約半年後に阿波丸が沈められています。
安全性から言えば、緑十字線は赤十字船に次ぐ安全性を保障されています。
それを違反と知りながら、1万トンにも及ぶ軍需物資を積み込ませた日本軍。
阿波丸の悲劇は美化されるどころか、元はと言えば、日本軍が悪かったのです。
そして、その半年前に起きた対馬丸の悲劇。
対馬丸は3隻の船団を組んでの疎開船でした。
3隻の船団は強力なジャミング(妨害電波)を発しながら航行していました。
それをキャッチしたアメリカ潜水艦は、妨害電波を発信しながら航行する船団を、
重大任務の船団だと判断しました。
その結果が対馬丸の悲劇になったのです。
戦争というのは、単純にどっちが善か、どっちが悪かという世界ではありません。
人間の持つ本質的な権力構造、本質的ないじましさ、いやらしさ、汚さ、
そんな精神構造の中で、何かを一方的に美化する。
私は、そんな事を思うと、この歌を唄いたいとは思わないのです。