私の町 吉備津

藤井高尚って知っている??今、彼の著書[歌のしるべ]を紹介しております。

比翼の鳥

2008-05-30 08:27:07 | Weblog
 吉備津神社の造りは「比翼入母屋造り」と呼ばれていて、わが国では他に例を見ない壮大な造りになっているといわれています。
 この「比翼」の語源について尋ねてみたいと思い、久しぶりに例の漢文の先生を訪ねました。
 正月以来ですから、話も多方面にわたります。ようやく、その比翼について聞くことが出来ました。

 「比翼」というのは、中国に言い伝えられてきた雌雄同体の不思議な鳥のことで、白居易の長恨歌にあるという。
 
 そこまで言うと、大変立派な装丁の本を書庫より取り出して、ぱらぱぱらとページを捲り、それを私の前に差し出して言います。
 ひとくさり長恨歌の内容についてご講義を賜り、やおら言います。
 
 「最後に、仙女は天界にやってきた修験者に言う。
  
     夜半、人なくして 私語せし時
     天に在りては願わくは作(な)らん比翼の鳥
     地に在りては願わくは為(な)らん連理の枝
     
     天は長く 地は久しきも 時ありて尽きなん
     此の恨みのみは綿々として尽くる期(とき)無し

 我々人間は、愚かにも、天も地も永遠に決して滅びない悠久であると思っていようが、そうではないのだ。いつかは尽きて滅びてしまう破滅の時は必ず来る。しかし、馬嵬駅での、玄宗と楊貴妃の二人を裂いてしまうような愛の恨みは、綿々として未来永劫に繰り返され尽きる期(とき)はないのである」

 「それにしても、愛とは、なんて儚いものなのだろうか。・・・この年になっても、まだまだ、できるものなら死ぬほどの思いの恋はしてみたいよな。あははは」
 と、例の高笑いを期に腰を上げました。 
     


 
 


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