私の町 吉備津

藤井高尚って知っている??今、彼の著書[歌のしるべ]を紹介しております。

手習所での「五常の教え」

2010-01-12 16:52:39 | Weblog
 「おなごもかよえたんか」
 ですが、その前に、もうちょっと、ここの会約について説明をします。
 尚、この会約というのが、総ての手習所にあったかどうかは不明ですが、こんな決まりが一部の手習所にあったことは確かです。そんつもりでお読みください。

 昨日に続いて 三,四番目の会約です。
 
 一、凡そ、年長せる人をば父母の如く敬うべし。
  
 手習所では、親兄弟の次に、「幼長の序」が重んじられたのです。
 なお、儒教では、仁・義・礼・智・信を「五常の教え」と言って、これは父子・君臣・夫婦・長幼・朋友の間でも、常に必要な徳であると説いたのです。
 これは、あの珍聞漢文氏から教わったものです。なお、孟子も、これとよく似た説を唱えたのだそうですが、あまりそのあたりの事は詳しく聞いていません。
 要するに、「五常の教え」が、広く社会全体にいきわたるためには、長幼の間柄には「序」、即ち「秩序」が、最も、大切なことであると、いうのです。それを会約に書き込んでいる所が、手習所の特色なのです。
 目上の者に対しては、常に尊敬の念を持って接すべきで、それが出来て、初めて、この社会が成り立つのであると、説いたのです。
 
 その次には
 
 一、朋友の交(まじわり)、たがいに謙(へりくだ)り譲り、信なるを以て本とすべし。浮気の輩に与(くみ)して無礼不義の働不可有之。
 
 友達同士で、一番大切なことは、互いの信頼関係を築く事だというのです。その為には「浮気」をしないことだと言うのです。ここで言う「浮気」とは、不良の者どもと一緒になってよからぬ事をなすべきでないと言うぐらいの意味です。今、普通にで使われているあの男女関係を云い現わす「浮気」ではないのです。これも、念のために。


 これからでも分かるように、この手習所では、「書き・そろばん」の外に、社会道徳の基本、儒教の「五常の教え」をも学ばせようとしたのです。 
 約200年にも渡る下剋上の混乱社会から、ようやく平和を取り戻した社会を、再び、混乱社会に戻さないために必要なことは何かと、考えられて採った光政侯の先見性のある政治です。
 道徳の徹底、そのためには、まず、「教育こそがその根底にあり」と、考えられて取られた政治だったのです。有斐録等からもうかがえます。