![]() | 人体冷凍 不死販売財団の恐怖 |
ラリー・ジョンソン,スコット・バルディガ | |
講談社 |
たまたま神保町の本屋の台車の上にあったラリー・ジョンソン、スコット・バルディガ「人体冷凍 不死販売財団の恐怖」という本を衝動買いした。恐ろしい本を買ってしまったものである。アメリカには、死後の人体を液体窒素で冷凍保存し、後世に復活させるアルコー延命財団という非営利組織があるらしく、この本はその財団の幹部ラリー・ジョンソンによる衝撃の内部告発だ。
とにかく内容が、このブログで書くのが憚られるほどえぐい。財団の会員が死ぬと、財団はその頭部を切断し、特殊な医学装置につなぎ、液体窒素でマイナス196度に冷凍保存する。だが彼らは狂信的なカルト的人体冷凍保存至上主義者で、時には殺人も辞さないというのである。口絵には手術の模様を映した写真が掲載されていて、非常にグロテスクである。財団のメンバーは明らかに倫理観が欠如した社会不適合者ばかりで、マイケル・ペリーなる人物は……、いや書くのはやめておこう。
著者は長年、救急救命士として活躍してきたが、新たな刺激を求め、この財団に仕事を変えた。だがこの財団のずさんな手術の方法や、薬品や人体の管理の仕方を見るうちに正体を知るようになる。冷凍保存をするために会員を殺害した例すらあったことも突き止め、その証拠集めに奔走し、最後は財団から命を狙われる。
驚くのは、内容が恐ろしくグロテスクなのに、著者の文体がとてつもなくユーモラスなことだ。こんな内容の本を、こんなに面白く書けるなんて、この著者の頭はいったいどうなっているのだろう。