ホトケの顔も三度まで

ノンフィクション作家、探検家角幡唯介のブログ

腰痛探検家

2010年11月26日 01時23分30秒 | 書籍
腰痛探検家 (集英社文庫)
高野 秀行
集英社


高野さんの「腰痛探検家」を読む。腰痛世界を密林やUMA探しといった辺境旅行に見立て、辺境作家である高野さんがその異次元ワールドを旅する仕立てになっている。腰痛に悩む自分を悪い男にだまされた女子に見立てたりといった比喩や、一見突拍子もないが見立てが、読んでるとなるほどと納得させられるほど的確である。

内容は腰痛に悩み、東洋医学から心療内科にいたるまで、さまざまな治療を受けるというだけの話だ。それでも面白い本に仕立て上げるところが高野さんである。しかしそう考えると、結局、高野さんはどんな話を書いても面白くなってしまうわけで、そうするとわざわざ辺境なんぞに行く必要はないようにも思える。それは辺境作家としては、はたしてどうなのだろう。ひょっとしたら、そのへんの自己矛盾を本人も抱えているのかもしれない。

今度会った時は、ぜひそのことを訊いてみようと思う。ちなみにわたしも腰痛持ちで、おまけに頸椎ヘルニアもある。いつか腰痛対談ができたら面白いだろうな。

コメント (3)
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