ホトケの顔も三度まで

ノンフィクション作家、探検家角幡唯介のブログ

探検部後輩S結婚式当日のわたし

2010年11月07日 21時45分35秒 | 雑記
探検部の後輩Sの披露宴に招かれ、京都に行ってきた。

深夜バスで京都に行って、汗臭いまま披露宴に出るのもいやなので、出発前日Sに電話して、早朝に京都に着くのでお前の家でシャワーでも借りられないかと、無茶なお願いをした。7時半には家を出なきゃいけないので、ちょっと無理ですね、と断られた。さすがに自分でも、結婚式当日の新郎新婦の自宅に押し掛けるのはどうかとは感じていたので、当たり前かと思ったが、すぐにまたSから電話が来て、急げば大丈夫なので、家に来てくれても構わないという。

朝6時20分、京都着。Sの指示通り、地下鉄でMという駅に行くと、改札に彼がいた。いやいや申し訳ないねなどと言いつつ、車に乗り、彼の自宅マンションまで送ってもらう。中に入ると、新婦のMさんが、いらっしゃいと明るくあいさつしてくれた。
「いやー無茶言って、すみません」
「いいんです。ご自由にくつろいでください」
良い人だ。Mさんとは、Sと一緒に小川山でクライミングをしたことがあったので、知らないわけではない。お言葉に甘え、テーブル上の新聞を広げて読んでいると、Sがパンを切って、トースターの中に放り込んだ。
「それじゃあ、鍵おいてきますんで、あとはよろしく」
SとMさんは、式を挙げるため、そそくさと自宅を後にした。

残されたわたし。

トースターがチンと鳴ったので、開けると、コンセントが抜けていたらしく、冷たいままである。もう一度焼き直し、冷蔵庫の中のパイナップルジュースをコップに注ぎ、朝食をいただいた。腹が満たされると、なんだか急に眠くなってきた。前日は高田馬場スポーツ用品店勤務のSMさんに誘われクライミングをしてきた。そのため2日連続で車中泊となったため、知らない間に疲れていたらしい。椅子にかけてあったドテラを羽織り、ソファーの上のクッションを枕にして横になると、すぐに熟睡した。

目を覚ますと11時半。いけない、すっかり寝坊してしまった! そういえば、わたしが現在ここにいるのも、たしかシャワーを浴びるのが目的だったはず。そう思い、急いで服を脱ぎ、シャワー室に入る。

考えても見ると、この部屋はSとMさんが暮らしているとはいえ、もともとはMさんが住んでいるところにSが押し掛けたはずなので、もともとはMさんの家である。そんなことを思いながら、頭をごしごし洗う。今頃、この家の二人は、永遠の愛でも誓っているのだろうか……。体を洗いながら、ようやくわたしも、それにしても、と思うにいたった。

おれは一体、こんなところで何をやっているんだろう。


コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする