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感想:『夢見る黄金地球儀』

2009年11月22日 20時49分41秒 | 本と雑誌
夢見る黄金地球儀 (ミステリ・フロンティア)夢見る黄金地球儀 (ミステリ・フロンティア)
価格:¥ 1,575(税込)
発売日:2007-10


海堂尊では初の非医療系。とはいえ、舞台はお馴染みの桜宮市。『ブラックペアン1988』で触れられた黄金地球儀を巡る物語。

2013年と近未来が舞台。いくつかの科学設定と浜田小夜を出すため、と言ったところか。
ふるさと創生基金の1億円で作られた黄金地球儀。その強奪を目指す主人公、と書くと犯罪小説めいた緊迫感が漂うが、そんなものはほとんどなし。全体に馬鹿馬鹿しさが漂う物語となっている。
個性溢れるキャラクターが次々と登場するところは著者の面目躍如。ただ大学院まで進学した理系の主人公の頭の悪さには違和感を持たざるをえなかった。

医療が絡まないせいかテーマ性はほとんどなく、馬鹿話を気軽に楽しむだけの作品であり、その御都合主義のオンパレードに目くじらを立てるのは正しい読み方ではないだろう。それだけに、エピローグは不必要だった。
圧巻は主人公の父である平沼豪介。論理を軽々と飛び越えた親父という意味では『螺鈿迷宮』の桜宮巖雄を彷彿とするが、倫理を飛び越えなかった(少しは越えたけれど)分、豪介の方が遥かに親しみを感じる。
やはり海堂尊は医療系を読みたいと思わせた作品だった。(☆☆☆)




これまでに読んだ海堂尊の本の感想。(☆は評価/最大☆10個)

チーム・バチスタの栄光』(☆☆☆☆☆)
ナイチンゲールの沈黙』(☆☆☆)
ジェネラル・ルージュの凱旋』(☆☆☆☆)
螺鈿迷宮』(☆)
ブラックペアン1988』(☆☆☆☆☆☆)


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