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今日は、3日前の朝日新聞の投書欄に掲載された至極まっとうなご意見を紹介します。まずじっくりとお読みください。
最初に出てくる事例は次の“省エネ冷蔵庫”です。
次に出てくる事例は昨年1月の“製紙会社のリサイクル率水増し”事件です。
●混迷する日本④ 20世紀の企業倫理・企業観が招いた「低い古紙配合率」(2008-01-18)
そして、近年のレジ袋や冷暖房に関するエコ(クールビズやウォームビズなど環境省が提示した国民一人一人にできることなど)は、行っている人の自己満足にはなるかもしれませんが、社会全体のレベルで考えれば企業の行動(具体的には、資源やエネルギーの消費量など)が市民の行動より遙かに強力なので、効果はまったくない思います。たとえば、次のような例です。
●アクアラインの通行量値下げは、環境負荷を増大する(2009-03-24)
2007年、2008年には、こうした「市民の不安定なエコ意識の状況」に、さらに混乱をもたらすような、一群の識者らの「エコ批判本」 も相次いで出版されました。こうした動きに対して、批判された側からの反応が十分にないまま、うやむやのうちに時間が経過し、現在に至っています。以下の記述は、当時の私の認識です。今も私の考えに基本的な変更はありません。
●判断基準を変えれば、別のシーンが見えてくる(2007-10-10)
●同じ情報を与えられても解釈は異なることがある(2007-10-11)
●武田さんの「環境問題はなぜ嘘がまかりとおるのか」と槌田敦さんの「環境保護運動はどこが間違っているか」(2007-10-14)
●日本「温暖化懐疑論」という現象(1)(2008-09-24)
●日本「温暖化懐疑論」という現象(2)(2008-09-25)
●槌田敦さんが理解するスウェーデンの原発事情(2007-10-10)
次の「低燃費の新車や省エネ家電に買い換えることは本当に地球に優しいのだろうか。買い換え自体が無駄な消費で、宣伝に利用されるだけなら何の意味もない」とあります。これは、個人の意識と努力に基づいたレジ袋や冷暖房に関するエコとは違って、日本政府が「日本版グリーンニューディール」と名付けた政策のもとでかなりの予算をつけて実施する大規模な国民的行動ですから、ある程度の予測はできますが、結論を急ぐのではなく、少なくとも1~2年後に判断すべきでしょう。そのときの私の判断基準は次の通りです。
さて、この投書の中で最も重要な部分は次の部分です。
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世界は今、食糧、水、石油の供給、温暖化、移民格差など様々な危機に瀕しているのに、リーマン・ショック以降、話題に上るのは金融危機ばかりだ。環境問題は、金融サミットに飲み込まれてしまったようだ。未曾有の経済危機の克服は急務だが、景気回復のメドが立った後でも解決の終わらぬ問題からは、たえず意識をそらすべきではないと思う。
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私の環境論から見ると、この部分は核心をついていると思いました。私も同じ考えですので、日本の経済学者やエコノミストの「環境問題に対する意識」を探るため、経済分野の週刊誌を購入し、詳しく調べてみました。そこに登場する識者(その多くがマスメディアで知 られた方々です)の主張はまさに、投稿者の岡村一生さんのおっしゃるとおりで、「環境問題に対する認識」はほとんどゼロに等しいものでした。この状況は経済学者やエコノミストの意識の問題であると共に、これらの経済誌の内容を企画する編集者の意識の低さでもあると思います。大変恐ろしいことだと思います。
●週刊『エコノミスト』 2008年11月25日号 新ニューディールなるか 危機vsオバマ
●週刊『エコノミスト』 2009年2月3日号 日本経済処方箋 経済「戦時」克服のためのチェンジ
●週刊『東洋経済』 2009年2月14日号 世界経済危機 特別講義 これから起こる大激変
●週刊『ダイヤモンド』 2009年4月4日号 入門 「大不況の経済学」 日本を襲う危機の正体
●週刊『東洋経済』 2009年4月4日号 経済「超」入門 危機後の世界がすべてわかる!
●週刊『エコノミスト』 2009年4月28日号 最速で景気回復、日米欧がすがる中国一極経済
●週刊『エコノミスト』 2009年5月5・12日合併号 世界不況が迫る経済の構造転換 産業大革命 日本のものづくりは死ぬのか
●週刊『エコノミスト』 2009年5月26日特大号 (2009年5月20日追加) 環境先進国の嘘
結局、これらの記事に目を通して得られたことは、私の期待に反してというか、予想通りというか、次のようなものでした。
①上記の週刊誌に登場する経済学者やエコノミストには、それぞれのよって立つ基盤が比較的明らかである。
②経済学者が10人集まると11通りの処方箋がある。ということは、経済学者や、さらに拡大解釈して、エコノミストにこの未曾有の大不況の解決を期待するのはもともと無理があった。
③そして、最も失望したのは「経済成長」の議論ばかりで、「経済活動の当然の帰結である環境問題」を意識して発言している経済学者やエコノミストがほぼゼロに等しかった。
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