環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

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大混乱する日本の年金改革

2007-06-28 07:54:38 | 少子高齢化/福祉/年金/医療


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2003年に入って、日本では新聞や雑誌に年金関連記事が多くなりました。2004年4月には国会で年金改革法案の実質的な審議が始まったので、テレビ番組でも連日のように年金問題がとりあげられました。
 
これらの報道を通して私たちが知ったことは、日本の年金制度が「国民の皆年金制度」を謳っていながら、実際は政治家の年金未納や未加入問題、さらには、年金財源があらぬ使途に費やされていた問題に象徴されるように、構造的に非常に危機的状況にあるという事実と、その解決策としてスウェーデンの年金制度(後日紹介します)が注目されていたことです。
 
年金改革の議論には、 「制度全体をどう設計するか」という議論と「現役世代が支払う保険料と年金受給世代が受け取る給付のバランスをどうするか」という二つの重要な議論があり、2004年4月の国会には政府案と民主党案が提案されました。
 
一つ目の議論である「制度設計の変更」は、政府案ではほとんど示されませんでした。民主党案は2003年に公表した「マニフェスト」に掲載されている「年金将来像――民主党案のイメージ図」と同じものです。これは、外見上、スウェーデンの「旧年金制度」(1960年の「国民付加年金制度」で、99年の新制度の施行により廃止された)によく似た2階建て構造になっています。
 
枝野幸男さん(民主党元政調会長)は、「民主党案が国会で成立した場合に、現行の年金制度が新しい一元化制度に完全に変わるのには、80年くらいかかるのではないかと思います」と述べています(民主統一同盟の機関紙「日本再生」第301号、2004年5月)。ちなみに、スウェーデンの新年金制度が旧制度に完全に置き換わるのは20年です。

民主党案の内容が外見上はともかく、実質的にもスウェーデンが「20世紀の経済成長を前提にした制度で、21世紀の少子・高齢化社会にそぐわない」という理由ですでに廃止した旧年金制度と同じようなものであるなら、民主党案は政府案よりすぐれているかもしれませんが、はたして、日本の「21世紀の持続可能な年金制度」として期待してよいものでしょうか。
 
また、2004年3月25日に放映された「NHKスペシャル――年金③」(再放送)で、笹森清さん(当時連合会長)は、「連合の主張は形からいけば、初期スウェーデン型、基礎年金は税金で、上は所得比例型」だと述べています。民主党案も連合案もおよそ45年前につくられ、1999年に「新年金制度」に置き換えられたスウェーデンの「旧年金制度」と制度設計上、どこがどう違うのでしょうか。



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