環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

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 「治療志向の国」の21世紀環境立国戦略

2007-06-04 08:31:01 | 政治/行政/地方分権


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昨日のブログの最後に、私は次のように書きました。
21世紀に入り7年目に入った今、私たちが直面している「環境問題」と「その解決策としての持続可能な社会の構築」は治療志向の国では対応できない問題ですので、日本を「治療志向の国」から「予防志向の国」へ転換していかなければなりません。

「予防志向の国」スウェーデンの“21世紀環境戦略”については、今年1月11日から6月1日まで、市民連続講座「スウェーデンの挑戦 緑の福祉国家」シリーズで62回にわたって紹介してきました。偶然にも、「治療志向の国」日本の「21世紀環境立国戦略」の議論がこれから始まろうとしています。

21世紀環境立国戦略は、安倍首相が、2007年1月26日の施政方針演説で、その策定を約束していたものです。

次のニュースをご覧ください。

原案では、「地球温暖化」「資源の浪費」「生態系」の三つの分野で、地球規模の環境問題が深刻化していると指摘し、将来の世代に受け渡していける「持続可能な社会」に変えていく必要があるとしたとあります。この文言は、これまで私が、ブログの「市民連続講座 環境問題」(52回)と「市民連続講座 スウェーデンの挑戦 緑の福祉国家」(63回)で述べてきたこととほとんど同じです。

しかし、この記事には「今後1、2年で重点的に着手すべき8つの戦略を挙げた」とありますが、ここには明示されておりません。ネットを検索すると、 「21世紀環境立国戦略」(平成19年6月1日)と題する政府のPDF文書(24ページ) がありました。そこに掲げられている「8つの戦略」なるもののタイトルを紹介しましょう。

戦略1 気候変動問題の克服に向けた国際的リーダーシップ........ 7
戦略2 生物多様性の保全による自然の恵みの享受と継承......... 12
戦略3 3R を通じた持続可能な資源循環........................ 14
戦略4 公害克服の経験と智慧を活かした国際力................. 16
戦略5 環境・エネルギー技術を中核とした経済成長............. 17
戦略6 自然の恵みを活かした活力溢れる地域づくり............. 19
戦略7 環境を感じ、考え、行動する人づくり................... 22
戦略8 環境立国を支える仕組みづくり......................... 23

30年近くスウェーデンと日本の環境政策を同時進行でウオッチしてきた私にとって、なんとも拍子抜けの記述です。これまでの政策の羅列を超えるものではなく、まるで、環境白書を読んでいるような気分になります。

1993年5月13日の「環境基本法案等に関する衆議院環境委員会中央公聴会」 に出席を求められた私は、「日本とスウェーデンの環境問題に対する現在の認識の相違と対応の相違は、21世紀初頭には決定的な相違となってあらわれてくるであろう」という言葉で私の意見を結びました。
安部首相が就任以来力強く主張してきたこの「21世紀環境立国戦略」と題する文書を読みますと、まさにそのとおりになってしまったように思います。

私の基本的な疑問は、それでは、この「21世紀環境立国戦略」と2005年4月19日に政府の経済財政諮問会議が公表した「日本21世紀ビジョン」との整合性はあるのかということです。


詳細は政府の経済諮問会議のHPをご覧ください。


 
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