環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

「経済」 「社会」(福祉) 「環境」、不安の根っこは同じだ!

「将来不安」の解消こそ、政治の最大のターゲットだ

政治家の不祥事   

2007-01-20 21:23:44 | 政治/行政/地方分権
同じテーマに対して、皆さんの考えが私の考えと大きく異なるようであれば、大いに議論しましょう。議論を通して私自身の誤りを正すことができるし、「環境問題に対する共通の認識」と「持続可能な社会の構築の必要性」を分かち合うことができると思うからです。
  
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国会議員や知事、地方議員など、国民の不安を解消することが期待されている政治家の不祥事報道が、なぜ日本ではこうも続くのでしょうか。おそらく、個人の「倫理観の喪失」によるものが多いのでしょうが、見逃せないのは社会制度の不備、特にチェック・システムが十分機能していない日本の制度に問題があるようです。

ちょっと古い話ですが、このような日本の現状に慣れ親しんでいる私たちにとって、98年7月24日付けの毎日新聞のコラム「余録」や2002年7月29日付けの東京新聞のコラム「本音のコラム」が伝えるスウェーデンの政治家の姿勢はにわかには信じがたいでしょう。

2つの記事に登場する岡野加穂留さんは昨年6月になくなられました。政治学者で明治大学元学長を務められた方で、スウェーデンの政治にも精通しておられたようです。

余録に登場するモーナ・サリンさんは元女性副首相、昨年9月の政権交代までは、世界初の「持続可能な開発省」の大臣でした。 私のブログにも登場します。 





この2つの記事に日本とスウェーデンの政治風土の相違をかいま見たような気がします。





汚職防止研究所

2007-01-20 18:32:34 | 政治/行政/地方分権
同じテーマに対して、皆さんの考えが私の考えと大きく異なるようであれば、大いに議論しましょう。議論を通して私自身の誤りを正すことができるし 「環境問題に対する共通の認識」と「持続可能な社会の構築の必要性」を分かち合うことができると思うからです。
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権力の移行には汚職がつきものです。1993年11月26日から朝日新聞は「地方分権の実験:北欧からの報告」と題する連載記事を掲載しました。このシリーズの5回目に「汚職防止研究所 指針作り公務員指導」と題する記事がありました。

私はこのような研究所が当時、スウェーデンにあったことも知りませんでしたし、今もあるかどうか知りません。しかし、93年に朝日新聞が連載記事を組んだということは当時、日本でも地方分権の議論が盛り上がっていたからでしょう。そして今再び、地方分権が議論されていることを考えれば、この記事をここで紹介するのもムダではないでしょう。いかにもスウェーデンらしく面白いので、この記事の要点をまとめておきます。

「汚職防止研究所」 スウェーデンの首都ストックホルムの商工会議所に奇妙なプレートがかかっていた。スウェーデンには、公務員が300クローネ(約4500百円)以上のものをもらうと汚職になるという、同研究所が出した目安がある。

70年ほど前のスウェーデンは、土木や建設、金融などの民間企業と行政の間で汚職が続発。これでは公正な企業競争ができない、と商工会議所と産業連盟、商業連盟が汚職防止研究所を設けた。メンバーは、経済団体と民間企業の代表者10人で、いずれも法律の専門家だ。汚職防止のためのセミナーを催したり、刊行物も出している。

現在の目安を示した同研究所所長でストックホルム高裁判事は「公務員が誘惑に駆られて、権力を悪用しない金額にした。15年前には100クローネほどで、物価に合わせている。政治家のハードルはもっと高く、何も受け取ってはいけない」という。

自治体の中には、研究所の発行物を参考に職員向けの汚職防止パンフレットを作っていることも多い。その中で、受け取ってかまわないとされるのは、花束と宣伝用の試供品だけだ。300クローナの目安は法律に基づくものではないが、裁判の際に参考にされることもある。汚職そのものが珍しいスウェーデンでは、発覚すると地方の小さな事件でも全国版に載るのが普通だ。              


私の環境論10 生態系の劣化

2007-01-20 15:25:04 | 市民連続講座:環境問題

  
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動物や植物など、何らかの生物が生息できる場所を「生物圏」と呼んでいます。生物圏には、森林、農耕地、砂漠、湖、海洋などのように、お互いに他と区別できるまとまりがあります。簡単に言えば、このまとまりのことを「生態系(エコシステム)」といいます。ですから、生物圏とは、生態系という単位の集合体ということができます。

それぞれの生態系は外観が異なるし、その構成要素も異なりますが、すべての生態系には共通点があります。

生物の種類は異なりますが、太陽の光を受けて光合成により酸素や有機物を生産している点ではすべて共通です。また、太陽からの光エネルギーは有機物などの化学エネルギーに変えられ、無機物化(有機物が酸化して無機物になること)に伴って熱エネルギーに変化し、最終的には宇宙へ放出されます。これらの点もすべて生態系に共通です。

★人間が加わった「自然循環」
46億年の地球の歴史の中で、「自然循環」は人間が加わらないでも35億年もの長きにわたって持続してきました。そして、人間が加わった最近の数100万年(600万年?)も持続してきました。ところが、産業革命以後の150~200年間、人間は人間が加わった「自然循環」を人間自身の手で破壊し続けてきました。そして、現在、そのことにやっと気づき始めたのです。

生態学は、動物の一種である人間が「人間だけでは生き続けることができないこと」を教えています。私たちは、言葉の上では「人間中心」といいますが、実は人間は他の生物なしに生き続けることができないのです。生態系が生物集団の一つである「人間社会」を支えているわけですから、人間の経済活動が「生態系を劣化」させれば、経済活動のみならず、人間の生存条件が劣化し、人間社会そのものを支えられなくなるのは、自明の理です。

つぎの図は、10年以上前からマスメディアを通じて報じられていたほんの一握りの断片的な情報にすぎません。

一度失われた自然の回復には膨大な時間とコストがかかることに気づいて欲しいものです。人間が加わることで「自然循環」を豊かにすることもできますし逆に、「自然循環」を破壊し、貧しくする(人間自らの生存を否定する)こともできます。ですから、私たちが経済活動をしっかり行おうとするなら、「経済活動の拡大」が環境問題の真の原因であることを理解し、これらの制約の中で「新しい経済活動を創造すること」が私たちの明るい未来につながるはずです。

もう一度確認しておきたいのですが、環境問題を議論するときに、決して忘れてはならない事実が2つあります。それは、
①「人間は動物である」という事実。
②「人間を含めた動物の生存を支えているのは基本的には植物である」という事実。


緑の福祉国家10 「新しいビジョン」を実現する行動計画

2007-01-20 08:15:48 | 市民連続講座:緑の福祉国家


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同時多発している諸問題の解決には、問題ひとつひとつに取りくむのではなく、同時解決を図るために「システマティックなアプローチ」が必要です。

民主主義の国で「現行の社会(制度)」を「将来の新しい社会(制度)」にスムーズに変えていくには、まず、大多数の国民が賛成できる「望ましいビジョン」を描き、次にそのビジョンの実現のために「現行の行政組織や社会制度」を段階的に変えていかなければなりません。その際に、「従来の判断基準」を新しいものに変える原動力となるのは、時間の経過に伴って私たちが学び、獲得してきた「新しい知識」です。

スウェーデンでは、90年代中頃までに政治、行政(中央政府、自治体)、企業、市民など国民のセクター間で「人間は自然の法則から免れて生存できないこと」が理解されており、企業も含めて社会全体としてすでに「環境問題に対する社会的なコンセンサス」ができ上がっていました。

そして、「生態系の保全」こそが自分たちの生存を保障すると考えています。その上に、「緑の福祉国家を実現すること」が長期的な政治目標となっているので、スウェーデン企業は他国の企業よりも環境分野の活動に自信を持っており、環境分野の投資に積極的です。
   
民主的な法治国家で「ビジョン」を実現する具体的な方法は、図に示したように、予防の視点でつくられた包括的で整合性があり、柔軟性のある法体系の下に策定される「政策」と「その政策を支える予算の優先的な配分」です。新しいビジョンを実現するためには「新法の制定」と旧ビジョンである「福祉国家」を支えてきた既存の法体系の改正や廃止、行政省庁の刷新、転換政策などが必要となります。

 
このような整った行動計画の枠組みのもとで、利害を異にする組織やそれぞれの国民が、共通の目標である「緑の福祉国家の実現」に、それぞれの置かれた立場で、「できるところ」から一歩一歩努力を積み重ねていけば、道はおのずから開けるはずです。

下の図は上の図の⑥の部分(各主体の協力と行動)を具体的に示したものです。

行動計画のイニシァティブは地方自治体にあります。