東京さまよい記

東京をあちこち彷徨う日々を、読書によるこころの彷徨いとともにつづります

村弘毅「東京湧水せせらぎ散歩」

2010年03月10日 | 読書

東京の『湧水』のガイド本である。
善福寺川の湧水は、この「東京湧水せせらぎ散歩」(丸善)と、廣田稔明「東京の自然水124」(けやき出版)で知った。いずれも写真主体であるため眺めるだけでも楽しめる。湧水の位置もわかりやすく紹介されている。

 「東京湧水せせらぎ散歩」には、国分寺崖線の湧水がお鷹の道・真姿の池から等々力渓谷まで19カ所紹介されている。

武蔵野台地で多摩川により形成された河岸段丘の低位面を立川段丘・立川面、高位面を武蔵野段丘・武蔵野面とよび、立川面と武蔵野面とを分けるのが国分寺崖線(こくぶんじがいせん)である。これを武蔵野の方言で「ハケ」とか「ママ」などとよぶ。(Wikipedia)

1月の世田谷の坂巡りと関連するが、国分寺崖線の湧水の19カ所の内、成城三丁目緑地は世田谷通りを砧小の方からきて砧中学で右折して上った病院坂付近の緑地で崖からの湧水があり、大蔵三丁目公園は千川に沿った歩道わきにあった公園である。

世田谷区国分寺崖線発見マップを見ると、国分寺崖線のおおよその位置がわかり、世田谷の多摩川に近い坂はほとんど国分寺崖線にあるものと思われる。昨年12月の坂巡りと上記の1月とをあわせて国分寺崖線に沿って歩いたことになる。なるほど長いはずである。改めて地図をみると、喜多見の不動坂から先にも行ってみたくなってしまう。

本書によれば、東京の湧水は700を越えるが、その数字も湧水量も年々減少傾向にあるという。緑地面積と樹木の増加による雨水の保水および雨水の浸透による水源涵養の必要性が強調されている。

ところで、わざわざ善福寺川の湧水を見に行ったようにわたし自身がなぜ湧水にこだわるのか考えていたら、むかしの記憶が突然よみがえった。わたしは山と川の田舎で生まれ育ったが、子供のころ山などで遊んでのどが渇いたとき、よく湧水(清水とよんでいた)でうるおした。このような経験は誰にでもあると思う。そのような清水をいまでも二カ所思い出すことができる。斜面や崖にあった。冷たい清水をごくりと飲んで渇きをいやしたおさないころの記憶が湧水へと本能的に向かわせるのかもしれない。そうだとしたら何十年後にも影響を及ぼす水の記憶とはげにおそろしいものである。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする