夏が過ぎて秋も過ぎようとしているのに、うちの庭に春先に植えた草花がまだ咲いている。
雑草を片付けていたら、庭の片隅に植えてあったピーマンとトマトがまだ成っているのに気づいた。5月半ばに植えて、半年余り。生命力に脱帽、‥。
知る人ぞ知るターシャ・テューダーさんの本を読んだ。
「小径の向こうの家」ベサニー・チューダー著。
ターシャさんの事は知っていた。90歳を過ぎるまで日常にしていた30万坪の庭園作り。
あらゆる物を手作りし農耕だけじゃなく家畜も飼って4人の子を育てたスローライフ。しかし読んでみて更に新しい発見が‥。
自分の畑に麻の種を捲き、収穫して漉き、紡いで糸にし、織って布にし、家族の服を縫っていたという。何とまぁ面倒な。こんな事が出来るのかと驚きだ。
家の敷物も当然手織り。
家畜の世話をし、畑仕事と庭仕事。自分で人形を作り人形劇を企画し、呼ばれて人形劇を催していたと言う。本物と見間違うほどの精巧な人形。絵本も描き、年中行事はそれこそ手がかかっている。ツリーの飾り物からカードから全部手作り。
いつ寝てるのかと思うほどのマメさだが、そういう忙しさだからこそ次から次へとアイディアが湧いて出たのだろう。
きっとモーレツ社員ほどの忙しいスーパー主婦だったのだろう。
実際、写真のどれを見ても間違いなくセンスがいい。
絵本の絵は可愛らしいし、作った服はクラシックで素敵。
溢れんばかりの花の咲く庭‥。
写真の中には可愛らしい子供とアヒルや牛、リスが仲良く遊んでいる。
正に理想の「自然と共に暮らす家族」、だ‥。
ターシャさんはその道では有名な憧れの人となった。
90歳過ぎても生活を変えず庭を造り続けて亡くなった。
しかし、ネットで垣間見たある文に私はハッとした。
4人いた子供の内、3人とは比較的疎遠になり、亡くなった後、ターシャさんと同居していた長男に1億円以上の遺産分割の権利を求め裁判をしているそうだ。
理想の生活をさせてもらった子供なのに‥。
これを読んで、過ぎた物は及ばざるがごとし、ある意味やりすぎは自己満足なのかな、と感じました。正直、子供にとって手作りや素晴らしい環境が絶対のものではない筈だ。
でも、ターシャさんの生き方は、これからもずっと私の心に残ることでしょう。