今日の考え事〈applemint1104〉

自分の体験やニュース、テレビドラマや映画などについて感じた事を素直に書いて行きます。

「アフガニスタンの少女、日本に生きる」の感想

2012-08-28 09:25:57 | 日記

何となく借りてきて読んだ本だったが、読み進むにつれ引き込まれた。
アフガニスタンの情勢は漠然と理解していたつもりだったけど、一人の人の体験を読んで具体的にどういうものかが理解出来た。
今の日本の現実からは想像できない悲惨さ。
著者のニルファさんは父親が政府の役人だった。が、反体制で逮捕されそうなので父親だけ日本に逃げた。そこで大変な苦労をしながら働いて家族に仕送りする。


残されたニルファさんはおばさんの家に引き取られるが、家事ばかりさせられ学校には通わせて貰えない。
おばさんは父親が送ってきたお金を全て自分の家のために使っていた。
この部分は本当に気の毒だと思う。学校へ行きたくても行けなかった。その渇望がある。
ニルファさんは15歳なのに30歳と偽って偽装パスポートを使って国から出る。
それも、メッカ大巡礼を利用して、奇跡のような脱出劇だ。

やっと父親に巡り会え日本に来るが、そこからまた苦労が始まる。
日本語の問題。今まで全く教育を受けたことがないから一からの勉強。
これでもかという苦労話が続く。いつになったらハッピーな「めでたしめでたし」話が聞けるのかと読み続けるが、最後までなかった。

淡々とありのままにこれまでの経験を書いただけだろうが、何とも重い。
私たちが普通に当たり前と思っていることが、他国の人から見れば、幸せな、夢のようなことなのだ。
生活にしろ教育にしろ。
それでも「アフガニスタンの子供達の方が明るい顔をしている」とニルファさんは書いている。
幸せに慣れきった私たちは更にその上を行かなければならない、という使命感がある。
どちらが幸せでどちらが不幸かは一概には言えない。
ニルファさんはひたすら努力しながら高校、大学と進み、今は政府関係の通訳や講演などをしている。
全てきれい事ではなく結構ずる賢い事もやっている、それは正直だということで認めたい。
印象的だったのは、ニルファさんの父親の頑張りだ。政府の役人だったのに日本に来てからは何でもやったと言う。その中でも新聞配達、勧誘は契約数が抜きんでていて表彰されたという。家族がいたから頑張れたにしても、努力も才能のうちだなと思う。
親と要職にあった親戚がいなければ、ニルファさんは国から脱出出来なかっただたろう。
一般の人は国の現状を受け入れるしかないのだ。

この本は癒し系ではないが、映像よりはソフトなので体験記として、機会があったら読んでみるのもいいでしょう。