
焼き肉チェーン店でユッケを食べた客が集団食中毒を起こし、4人が死亡し、170人が発病した事件があった。
ユッケは肉膾のことで、「肉」はユク(육、Yuk)、「膾」はフェ(회、Hoe)の発音で、連音化して「ユッケ」と聞こえる。「膾・なます」は獣や魚の生肉を細かく刻んだものという意味である。名前が示す通り、生肉を使った韓国式の料理である。生の牛肉(主にランプなどのモモ肉)を細切りにし、ゴマやネギ、松の実などの薬味と、醤油やごま油、砂糖、コチュジャン、ナシの果汁などの調味料で和え、中央に卵黄を乗せて供することが多い。ナシやリンゴの千切りを添えることも多く見られる。食前にはよくかき混ぜるのが良いとされる。
今回の集団食中毒事件のユッケに使われた牛肉は店舗納入前の汚染が濃厚で、運営会社や食肉卸業者のずさんな衛生管理も露呈している。
富山県などは横浜若草台店で回収した未開封の生肉と、死者4人を含む客らから検出された大腸菌O111(オー・イチ・イチ・イチ)の遺伝子型が一致したと発表した。
これまでの捜査などで、チェーン店運営会社と食肉卸業者が、菌のついた肉の表面を削る「トリミング」をしていなかったことが明らかになっている。
大腸菌というのは、人や家畜の腸内に存在し、ほとんどのものは無害であるが、いくつかのものは、人に下痢などの消化器症状や合併症を起こすことがあり、病原性大腸菌と呼ばれている。この中で、特に毒力の強いベロ毒素を産生し、出血を伴う腸炎や溶血性尿毒症症候群(HUS)をおこすものを、腸管出血性大腸菌と呼んでいる。1996年の堺市などの集団感染で有名になったO157(オー・イチ・ゴ・ナナ)はその代表的なものであるが、そのほかに026,O111,O128など多くの種類がある。
大腸菌O111(オー・イチ・イチ・イチ)は自然界では主に、牛や羊の腸内に存在するとされる。
脚に蹄(ひづめ)を持った動物を有蹄類という。有蹄類は奇蹄類と偶蹄類に分けられるがいずれも草食動物である。
現在、奇蹄類はウマ・バク・サイの3科、23種が地球上で知られている。それに対して偶蹄類は、イノシシ、カバ、ラクダ、シカ、キリン、ウシなどの9科、185種である。(クジラはDNA解析ではカバの近縁とされているが、偶蹄類と呼べるかどうかは議論中のようである)。
ここで注目していただきたいのは、牛、羊、豚などはいずれも偶蹄目ということである。
昨年、宮崎県で蔓延した家畜伝染病、口蹄疫(こうていえき)は、鯨偶蹄目(豚、牛、水牛、山羊、羊、鹿、猪、カモシカ、など蹄が偶数に割れている動物)およびハリネズミ、ゾウなどが感染する口蹄疫ウイルスによる病気であったが、奇蹄類の馬は口蹄疫ウイルスに感染しなかったということである。つまり、馬肉と牛肉では基本的な違いがあるのである。
馬肉を食べる習慣のある地域は古来より馬の名産地であり、馬の生産と直結した文化が根付いていたと考えられる。
文禄・慶長の役で朝鮮に出兵した加藤清正軍が補給線を断たれ食料が底をついた時にやむを得ず軍馬を食したのに始まり、帰国後、清正が領地である肥後国(熊本県)に馬肉食を広めたという俗説がある。
しかし、馬肉を生で食べる習慣は熊本県の他、青森県や山形県、福島県(会津地方)、長野県、山梨県に存在する。
現在、国内に流通している馬刺しは、生食用食肉の衛生基準に適合している屠畜場から生食が認められた馬刺しが出荷されている。2011年現在、生食用食肉の加工基準に適合し、生肉の出荷が認められた屠畜場は全国で12ヶ所のみであり、全て生肉は馬肉のみを出荷している。また、馬肉生産量が1位の熊本県では、県内に所在する屠畜場で県及び市職員が大腸菌やサルモネラ菌などの病原菌が無いかを確認した上で出荷している事を公表している。
馬刺しについても、かねてから、住肉胞子虫に感染した馬による食中毒の可能性が示唆されている。ただし、厚生労働省によるとマイナス20度で48時間以上冷凍すれば寄生虫は死滅するとしている。
以上のとおり、牛肉については生食を前提とした国の基準が存在しなかったようだが、馬肉についてはしっかりした衛生基準が存在する。また、牛と馬では生物学的な違いもある。
どうしても生肉が食べたい人にはユッケではなくて馬刺しをお薦めしたい。
ユッケは肉膾のことで、「肉」はユク(육、Yuk)、「膾」はフェ(회、Hoe)の発音で、連音化して「ユッケ」と聞こえる。「膾・なます」は獣や魚の生肉を細かく刻んだものという意味である。名前が示す通り、生肉を使った韓国式の料理である。生の牛肉(主にランプなどのモモ肉)を細切りにし、ゴマやネギ、松の実などの薬味と、醤油やごま油、砂糖、コチュジャン、ナシの果汁などの調味料で和え、中央に卵黄を乗せて供することが多い。ナシやリンゴの千切りを添えることも多く見られる。食前にはよくかき混ぜるのが良いとされる。
今回の集団食中毒事件のユッケに使われた牛肉は店舗納入前の汚染が濃厚で、運営会社や食肉卸業者のずさんな衛生管理も露呈している。
富山県などは横浜若草台店で回収した未開封の生肉と、死者4人を含む客らから検出された大腸菌O111(オー・イチ・イチ・イチ)の遺伝子型が一致したと発表した。
これまでの捜査などで、チェーン店運営会社と食肉卸業者が、菌のついた肉の表面を削る「トリミング」をしていなかったことが明らかになっている。
大腸菌というのは、人や家畜の腸内に存在し、ほとんどのものは無害であるが、いくつかのものは、人に下痢などの消化器症状や合併症を起こすことがあり、病原性大腸菌と呼ばれている。この中で、特に毒力の強いベロ毒素を産生し、出血を伴う腸炎や溶血性尿毒症症候群(HUS)をおこすものを、腸管出血性大腸菌と呼んでいる。1996年の堺市などの集団感染で有名になったO157(オー・イチ・ゴ・ナナ)はその代表的なものであるが、そのほかに026,O111,O128など多くの種類がある。
大腸菌O111(オー・イチ・イチ・イチ)は自然界では主に、牛や羊の腸内に存在するとされる。
脚に蹄(ひづめ)を持った動物を有蹄類という。有蹄類は奇蹄類と偶蹄類に分けられるがいずれも草食動物である。
現在、奇蹄類はウマ・バク・サイの3科、23種が地球上で知られている。それに対して偶蹄類は、イノシシ、カバ、ラクダ、シカ、キリン、ウシなどの9科、185種である。(クジラはDNA解析ではカバの近縁とされているが、偶蹄類と呼べるかどうかは議論中のようである)。
ここで注目していただきたいのは、牛、羊、豚などはいずれも偶蹄目ということである。
昨年、宮崎県で蔓延した家畜伝染病、口蹄疫(こうていえき)は、鯨偶蹄目(豚、牛、水牛、山羊、羊、鹿、猪、カモシカ、など蹄が偶数に割れている動物)およびハリネズミ、ゾウなどが感染する口蹄疫ウイルスによる病気であったが、奇蹄類の馬は口蹄疫ウイルスに感染しなかったということである。つまり、馬肉と牛肉では基本的な違いがあるのである。
馬肉を食べる習慣のある地域は古来より馬の名産地であり、馬の生産と直結した文化が根付いていたと考えられる。
文禄・慶長の役で朝鮮に出兵した加藤清正軍が補給線を断たれ食料が底をついた時にやむを得ず軍馬を食したのに始まり、帰国後、清正が領地である肥後国(熊本県)に馬肉食を広めたという俗説がある。
しかし、馬肉を生で食べる習慣は熊本県の他、青森県や山形県、福島県(会津地方)、長野県、山梨県に存在する。
現在、国内に流通している馬刺しは、生食用食肉の衛生基準に適合している屠畜場から生食が認められた馬刺しが出荷されている。2011年現在、生食用食肉の加工基準に適合し、生肉の出荷が認められた屠畜場は全国で12ヶ所のみであり、全て生肉は馬肉のみを出荷している。また、馬肉生産量が1位の熊本県では、県内に所在する屠畜場で県及び市職員が大腸菌やサルモネラ菌などの病原菌が無いかを確認した上で出荷している事を公表している。
馬刺しについても、かねてから、住肉胞子虫に感染した馬による食中毒の可能性が示唆されている。ただし、厚生労働省によるとマイナス20度で48時間以上冷凍すれば寄生虫は死滅するとしている。
以上のとおり、牛肉については生食を前提とした国の基準が存在しなかったようだが、馬肉についてはしっかりした衛生基準が存在する。また、牛と馬では生物学的な違いもある。
どうしても生肉が食べたい人にはユッケではなくて馬刺しをお薦めしたい。
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