杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

嵐の孤児/見えざる敵

2023年05月25日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2022年11月25日 DVD発売 165分(150分+15分)

18世紀末のフランスで我が子を捨てようとしたジラールは孤児ルイーズを見て思い止まり、彼女を養子にして二人を姉妹のように育てる。しかし、ジラールの死によって事態は一変する。ジラールの娘アンリエットは誘拐され、ルイーズは物乞いの老婆に虐待される。二人の引き裂かれた運命が、やがて感動の結末を呼ぶ。(嵐の孤児)


1921年のアメリカ製作のサイレント映画です。ルイ16世の治世の終わりの騒然としたパリの状況や、ダントン、ロペスピエールといった歴史的人物が登場して好奇心をそそられます。ロペスピエールは日和見で陰険な男として描かれている一方、ダントンは好印象です。 

ド・ヴォードレ家(貴族)の娘が平民の男と結婚したことに怒った娘の一族が男を殺害し、生まれたばかりの娘を取り上げてノートル・ダム寺院の前に捨てます。少し遅れてジラールが貧しさから自分の娘アンリエットを捨てに来ますが、先に捨てられていた赤ん坊を見て可哀相になり二人とも連れ帰ります。
拾った赤ん坊が着けていたペンダントには「名前はルイーズ」と書かれた紙が隠されていて、大金も一緒にありました。ジラール夫妻はルイーズをアンリエットと一緒に育てます。

時は流れ、ルイーズの母は過去を隠して、警視総監ド・リニエール伯爵と再婚しています。貴族と平民の格差に心を痛める法律家ダントン(モンティ・ブルー )は、貧民にパンを配る若い貴族、ド・リニエール伯爵夫人の甥ド・ヴォードレ(ジョセフ・シルドクラウト )に好感を持ちます。

疫病によりジラール夫妻は亡くなり、ルイーズ(ドロシー・ギッシュ )も視力を失ってしまいます。アンリエット(リリアン・ギッシュ )はルイーズをパリの医者に診せようと考えます。パリへの途中、立ち往生した馬車から降りた姉妹を見たド・ブラーユ侯爵は美しいアンリエットを自分のものにしようと考え、家来に命じて攫います。侯爵の屋敷で意識を取り戻したアンリエットの助けを求める声に、ド・ヴォードレだけが応えて彼女を連れて屋敷を出て法律家ロベスピエール(シドニー・ハーバート )の営む下宿に連れて行きます。思わずアンリエットにキスしてしまったド・ヴォードレは、無礼を詫びて帰ります。
一方、ルイーズは姉を探して川に落ちそうになり、ピエールに助けられますが、彼女の盲目に目を付けた彼の強欲な母(フロシャール婆さん)によって強引に歌を歌わされ物乞いをさせられるようになります。

ダントンは王政打倒を呼びかける演説で民衆の支持を受けるようになり、彼の人気を恐れた王党派の襲撃を受けます。ダントンは友人ロベスピエールの下宿に逃げ込み、アンリエットに助けられます。彼女はダントンを兄のように慕うようになります。

ド・ヴォードレの頼みでアンリエットを訪ねた伯爵夫人は、ルイーズが身に着けていたペンダントを見せられて、ルイーズが自分の娘だと知ります。
そのときフロシャール婆さんに連れられたルイーズが通りかかり、その歌声で妹だと気付いたアンリエットは、二階の自室から呼びかけますが、そこへ甥との仲を裂こうとド・リニエール伯爵が警官を率いて現れアンリエットを捕まえバスティーユ監獄に入れます。また、国王の決めた縁談を拒否したド・ヴォードレは地方の監獄に送られます。

やがてダントンの演説に勇気づけられた民衆が蜂起し、バスティーユは陥落し、アンリエットも解放されます。監獄で情報を得たアンリエットは、フロシャール 婆さんを訪ねますが、ルイーズは死んだと嘘をつかれます。
兄がルイーズを襲おうとするのを見たピエールは、勇気を振り絞って兄からルイーズを守り、二人で逃げ出します。

伯爵夫人は夫に娘の存在を告白して夫に受け入れられますが、革命により亡命を余儀なくされます。ロベスピエールは貴族とその味方を次々とギロチンにかけていきます。

アンリエットに会うため命の危険を冒してパリに潜入したド・ヴォードレですが、ド・ヴォードレ家を恨むジャン・スタンに気付かれ、アンリエットとの再会の場で二人とも逮捕されてしまいます。

法廷に引き出されたアンリエットは、傍聴人の中にピエールといるルイーズを見つけます。ジャン・スタン判事により死刑判決が下され、すぐさま刑場へ運ばれるアンリエットとド・ヴォードレ。これを知ったダントンは二人を助けるために熱弁をふるい、心を動かされた民衆により赦免を勝ち取ります。
二人を救うため刑場に馬を走らせるダントン。刑場と交互に映し出される緊張感溢れるシーンです。
ギロチンに首を乗せられたルイーズの姉を救おうと、ピエールが処刑人をナイフで刺して時間稼ぎをする間にダントンが到着。アンリエットとド・ヴォードレは解放され、ピエールも罪を見逃されます。

やがてロベスピエールの恐怖政治が終わり、世は落ち着きを取り戻します。
ド・リニエール伯爵夫妻は屋敷に戻り、ルイーズとピエールを祝福します。再び目が見えるようになったルイーズに、アンリエットはド・ヴォードレとの結婚を認めてくれるか尋ねるのでした。


1912年製作の15分の短編「見えざる敵」は姉妹が強盗に遭う話。
リリアン&ドロシー・ギッシュ姉妹のグリフィス監督映画初出演作。
金庫に仕舞われた大金を邪なメイドが盗もうとして昔の仲間を引き込みます。銃で脅されながらも電話で助けを求める姉妹と助け出そうと駆け付ける男たち。穴から飛び出た銃に怯える姉妹 の表情がなかなかです😊
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ブラックナイトパレード | トップ | ウツボカズラの甘い息 »
最新の画像もっと見る

映画(DVD・ビデオ・TV)」カテゴリの最新記事