杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

ガラパゴス 前後編

2023年11月28日 | ドラマ
捜査一課・継続捜査班の刑事・田川信一(織田裕二)は、鑑識課の木幡祐香(桜庭ななみ)に頼まれて身元不明の死者リストを調べていた。田川は、リスト「903」の男が一酸化炭素中毒自殺に見せかけて殺害されたことを見抜く。田川と木幡は男の死を丹念に捜査し、男が沖縄県出身の派遣労働者・仲野定文(満島真之介)だと突き止める。一方、特殊班捜査係の鳥居(伊藤英明)は田川の行動に目を光らせつつ、裏では人材派遣大手ホープネス・ホールディングスの森社長(髙嶋政宏)、自動車メーカー・ヒラガモーターズの松崎社長(鶴見辰吾)と緊密な関係を結んでいた。そして田川は生前の仲野がホープネス系列の人材派遣会社に登録し、ヒラガモーターズの自動車工場に働いていたことを知る。仲野がネット上で何かを告発しようとしたことも…。その真相とは?(あらすじ紹介より)

織田裕二主演に惹かれてDVDをレンタルしたら、再放送されているのに後で気付いた😓 既に3話まで放送済だったから、ま、い~~けど。

被害者の仲野は、友人に正社員の座を譲ったために就職に失敗し派遣として働いていましたが、過酷な労働環境のなかでも明るく振る舞い、仲間を思い励ますような青年でした。彼を悪くいう者はなく人に恨まれるような人間ではないと皆が証言します。

一方、鳥居は、汚名を着せられ自殺した父のようにはなるまいと心に決め、高校の先輩で人材派遣会社ホープネスを業界大手に育て上げた森に情報を流す見返りに先輩警察官たちの天下り先を斡旋してもらい、警察組織のなかで成り上がっていきます。地道に足で事件を丹念に追う田川と対照的な人物ですね。

労働者派遣法による規制緩和が、逆に派遣の立場を損なっている現実が描かれます。結局は企業に有利な制度なのよね。😡 
ヒラガモーターズ社長・松崎は人件費削減のため、ホープネスから労働者を斡旋してもらっていましたが、派遣社員は人件費ではなく部品や備品と同じ
外注加工費の扱いになっていました。
そんななか、ヒラガは燃費向上とコストカットのために薄い金属板を使った車を生産し出荷します。しかし当時工場に勤めていた理系出身の仲野は、安全面に問題があるヒラガ車の欠陥にいち早く気付いて、ネットの掲示板で告発します。
ところが、ホープネスには、派遣社員の相互監視制度(チクリ)があり、同じ派遣労働者の清村仁が仲野の行動を森の秘書の高見沢に告げ口します。

報告を受けた森は、松崎に恩を売るため仲野を消すことにします。鳥居から助言(大きな事件が起これば捜査が手薄になる)を受け、無差別通り魔事件が起こった夜に殺人が決行されます。仲野と工場で仲が良かった長内保を正社員の座を餌に協力させ、清村と二人で青酸化合物を飲ませて殺害したのです。亡くなる直前に全てを悟った仲野は、「貧乏の鎖は俺で最後にしろ。」と言い、最後の力を振り絞り「780816」のメモを遺しました。

この数字は欠陥車の車体番号 でした。
田川たちの執念の捜査が実り、長内、清村、高見沢は逮捕されますが、事件の原因となったヒラガへの捜査は警察上層部や政治家の圧力で中止されてしまいます。
裁判が始まり証人台に立った田川は、派遣労働者を食い物にしてきた森と松崎の行為を糾弾するのでした。


タイトル「ガラパゴス」は、孤島という閉鎖環境の中で、生物が独自の進化を遂げたガラパゴス諸島の名からきていて、家電製品などを日本独自の機能やサービスにこだわった結果、海外で受け入れられない状態を表しています。
ハイスペックを求めた結果、値段で負け海外市場で取り残された日本の液晶テレビを連想しますね。
ドラマではヒラガモーターズがハイブリッドに傾倒するあまり日本でしか売れないメーカーとなっていました。仲野は、掲示板に「俺たちは“ガラパゴス”の最前線にいる」 と書き込んでいますが、まさにそのことを予見していたかのようです。

長内が友人を殺してまで手に入れたかった正社員の座。非正規から抜け出せない派遣労働者の現実が重くのしかかってきます。派遣労働者を部品としてしか見ない人材派遣会社のシステムも恐ろしいですが、正社員と非正規の格差も厳然とある現実も哀しいです。
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