杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

つばさ111号の殺人

2024年01月06日 | 
西村京太郎(著)講談社文庫

殺人事件の裁判で被告人に不利な証言をした二人の男女が不審死を遂げる。判決の際、証人全員を殺すと叫んだ被告人は獄中で死んでいた。別の証人の一人がつばさ111号に乗車後、行方不明に。十津川警部は捜査線に上がった霊感師に接触するがアリバイは完全だった。容疑者を挑発した十津川の周囲に危険が迫る。(内容説明より)


白昼、喫茶店のオーナーの本間がいきなり男に刺殺される事件が起き、逮捕された松本は、事件発生時に店内にいたウエイトレスや常連客など5人の証言により有罪となりますが、判決の際松本は5人に「お前たちを一人残さず殺してやる」と叫びます。しかし彼は服役中に脳血栓で突然亡くなります。

彼の死から暫くして、証言をした5人のうちの一人、ウエイトレスの大石あずさが沖縄で溺死し、続いて宮田直人が浴室で手首を切って亡くなっているのが発見されます。
宮田の死に不審を抱いた十津川が、証人の一人である黒柳恵美に話しを聞いた直後、彼女が消息を絶ち数日後に猪苗代湖で遺体となって発見されるに及んで、十津川は連続殺人ではないかと捜査を始めるのです。

著者はトラベルミステリーの第一人者ですが、今作は駄作だなぁ😔 
題名は恵美が実家を訪れるために乗った列車の名前ですが、ただそれだけで、時刻表のトリックなどの必然性は感じられず、つばさ111号と連結して走るやまびこ111号に乗車した小川長久との関連を示唆するにとどまっており、後に彼が殺された際にも使いまわしているという安易な設定にはがっかりしました。

証言者の3人が死んだ後、証言を拒否した4人のうちの3人が姿をくらまします。
ここで十津川が考えた「犯人の椅子取りゲーム」という推理も無茶苦茶だぞ。
犯人は一人ではなく、証言者たちを大金を餌に競わせているというのもかなり無理を感じます。それぞれがお金に困っていることが捜査で浮かんできますが、犯行に手を染めるにはリスクが大き過ぎるし、自分も殺されるということには考えが及ばないほど感覚が麻痺している…貧すれば鈍すを絵にかいたような筋書きだなぁ。😓 

松本との接点で浮かんできたのは恋人と思われる「黒ずくめの女」ですが、実は佐久間有也という占い師です。彼は自分を信望する中田哲也を使ってゲームを仕組んでいたという筋書きです。
佐久間は十津川の妻に毒を盛って脅すということまでしてみせますが、逆に自らの首を絞めることにもなるのよね。自分の能力を過信して墓穴を掘る典型的な奴だな。

佐久間と中田を嵌めて最後の殺人を食い止めたのも十津川の妻に使った毒殺という手段というのも芸がなかったな。

手軽に読める推理ものではありますが、章が変わるごとに同じような内容が繰り返されるのには閉口しました。これって何かの雑誌の連載だったのかな?




この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« エクスペンダブルズ ニュー... | トップ | 高速道路家族 »
最新の画像もっと見る

」カテゴリの最新記事