杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

JUNO/ジュノ

2008年11月19日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2008年6月14日公開 アメリカ 

16歳のジュノ(エレン・ペイジ)は、バンド仲間のポーリー(マイケル・セラ)と興味本位でした一度きりのセックスで妊娠してしまう。親友リア(オリヴィア・サールビー )に相談して中絶することにしたが、中絶反対運動中の同級生に「赤ちゃんにはもう爪も生えているわよ」と言われ、産む決心をする。フリーペーパーで子供を欲しがっている理想的な若夫婦を見つけ、里子に出す契約を交わしたジュノだったが・・・。

ヒロインのジュノはまさしく「変わった」女の子。
好奇心でセックスした相手は友達以上恋人未満の男の子。妊娠がわかっても、高校生の自分には育てられないと中絶や里子という選択肢を選ぶことに後ろ暗さは全くない。里親のカップルの元へも気が向けばふらりと立ち寄り、趣味の合う夫の方と親しげに話し込む。

日本で同じ状況だったら、本人も周囲もこんな風にあっけらかんとした明るさがあるだろうか?絶対無理だな~~と思う。昔「金八先生」で15歳の母がセンセーショナルな衝撃を与えたけれど、今も決して世間的に受け入れられているとはいえないだろう。

そもそも、両親が黙っちゃいない。父親は相手の家に怒鳴り込むだろうし、世間体を考えて中絶はさせても、産んで里子に出すということは考え付かないだろう。
学校だって妊娠した生徒に寛大ではないだろうし、周囲の目だって冷たい。

ところが、ジュノの父親も継母も彼女の行動を決して非難なぞせずに、その判断を尊重し、彼女を見守るのだ。学校でも、興味本位の目では見られるけれど、表立っての非難や苛めはない。町のドラッグストア?の主人でさえ、妊娠検査薬を買いにきたジュノを責めることはしないのだから。

中絶施設や里親制度など、アメリカ特有の土壌があるのだろうけれど、どうにも違和感は拭えない。けれど、それは決して嫌な感じじゃなくて、その明るさが羨ましいくらい。

理想的なカップルに見えた里親ヴァネッサ(ジェニファー・ガーナー)とマーク(ジェイソン・ベイトマン) だが、実はマークがまだ親になる心の準備が出来ていなかったり、完璧主義で神経質に見えたヴァネッサの方が善人だったりする。
ポーリーに対する自分の本当の気持ちが見えてきたり、少し疎外感を持っていた父マック(J・K・シモンズ )や継母ブレン(アリソン・ジャネイ)の自分への愛に気付いたりして、妊娠・出産を通じてジュノは確実に成長したのだ。

監督は『サンキュー・スモーキング』のジェイソン・ライトマン。
あの軽妙なタッチは今作でも健在。ちょっと嬉しいような温かいような気持ちになれます。

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